2021 Fiscal Year Research-status Report
恐怖・不安環境下での姿勢安定性に関わる意図的な注意制御
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18K17699
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Research Institution | Kobe International University |
Principal Investigator |
大谷 啓尊 神戸国際大学, リハビリテーション学部, 助教 (50732997)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 姿勢制御 / 恐怖情動 / 内的注意 / 外的注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでは恐怖情動が惹起される環境下で、注意のコントロールが姿勢制御に与える影響について内的注意コントロールが重心動揺を抑制することが明らかになった。本研究では、身体末梢の運動制御に及ぼす影響について検証した。 対象は健常若年者で、研究デザインはクロスオーバーデザイン(時期×注意コントロール)とした。実験課題は、国際情動写真集から選択された恐怖画像あるいは中性画像を提示し、被験者は前方に提示された画像をみながら重心動揺計の上で立位を保持してもらった。この際、圧センサーに指先で軽く触れた状態とした。課題は、①内的注意条件(指先を動かさないようにする)と②外的注意条件(提示画像の中央に提示された垂直線に身体を合わせる)の条件下のもと実施された。各条件における重心動揺(実効値面積)と指圧の変動係数(CV:Coefficient of Variation)を測定した。各指標は、恐怖画像と中性画像時の測定値の差分から変化量(Δ)を求めた。 Δ実効値面積は恐怖・中間画像のいずれにおいても条件間で有意差を認めなかった。ΔCVは恐怖環境下における内的注意条件下で有意に低下した。すべての被験者において課題中の接触圧の平均値は1N以下であったことから、重心動揺はライトタッチ効果によって注意の影響が顕在化しなかったものと考えられた。一方で、指圧の変動は内的注意条件で大きくなった。先行研究では、指先接触力と足圧中心の変位量/方向は相関することが分かっているが、本研究の結果は制御する対象に向けられる能動的注意が、制御対象となっている運動の安定性を阻害することを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究計画をほぼ完了した。恐怖情動の惹起によって、若年者と高齢者で異なる姿勢制御の特性を示すことが明らかとなった。Movement Specific Reinvestment Scale(MSRS)による運動の意識的制御の度合いの評価では、高齢者は恐怖環境下で意識的に姿勢制御を行う傾向が確認された。また恐怖環境下における意図的な注意制御について、外的焦点化よりも内的焦点化のほうが重心動揺が抑制される、あるいは末梢の運動制御の安定性が阻害される結果となった。これらの知見によって、リハビリテーション評価・介入への応用に向けた見通しを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた知見については学会発表および論文発表の準備を進めていく。今後は収集された重心動揺の時系列データを用いて、周波数特性の解析を実施する予定である。また、転倒経験のある高齢者や転倒恐怖感が強い高齢者へと対象を拡大、検証していく。
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Causes of Carryover |
コロナの状況により当初予定していた学会参加を見送ったことで旅費等の使用がなかったため。
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