2018 Fiscal Year Research-status Report
ブレイン・マシン・インタフェースを使ったベットサイド脳卒中リハビリシステムの開発
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18K17707
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋本 泰成 北見工業大学, 工学部, 准教授 (80610253)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳波 / ニューロフィードバック / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中のリハビリに革新をもたらす技術としてブレイン・マシン・インタフェース(BMI)技術が注目されている。脳卒中患者では、脳の運動指令が正しく伝わらず筋収縮が起きない。そのため、「筋肉から脳への感覚フィードバック」も生じない。BMI を使えば、運動指令に呼応して電気刺激装置が他動的に筋を収縮させ、フィードバックが生じる。この「脳から筋肉、筋肉から脳への経路」の賦活が神経の回復を促進する。 BMIを使ったリハビリ(BMIリハビリ)は、動物研究や症例報告などによりある程度、安全性が確立されてきているものの、まだ実用化には至っていない。申請者は、これまでにベットサイドでも利用できるBMIリハビリ装置を開発し、少人数での臨床応用に成功している。初年度では、実用化への壁となっている課題のひとつユーザビリティの強化に取り組んだ。 脳波測定には、習熟した測定者が必要になるのが現状である。また運動企図を読み取るための最適な電極配置および頭部のサイズ・形状、神経回路構造には個人差があることも問題になる。そこで頭部の核磁気共鳴画像法(MRI)で得られた画像から、頭部3次元データを抽出して頭部にフィットしたヘッドセットを作製することを目指した。これまでの申請者らの計測データや知見に基づいて電極位置を最適化し、体性感覚運動野の活動をもっとも効果的に計測できる位置にヘッドセットの電極を調節した。今後の研究としては、このヘッドセットにより、脳波計測に慣れていない研究補助者や患者であっても、簡便かつ正確な位置に電極をセットでき、計測を別日におこなっても再現性のある結果が得られるようになることを確かめる。さらに簡便な装着によって訓練に必要な時間が短縮され、患者の負担軽減できる点を証明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CADシステムをある程度使いこなせるようになり、ヘッドセットを作製することができた。またこれまでの申請者らの計測データや知見に基づいて電極位置を最適化し、体性感覚運動野の活動をもっとも効果的に計測できる位置にヘッドセットの電極を調節するようにしており、当初の目標をおおむね達成することができた。ただし、まだ3Dデータの状態なので、今後3D出力し、実際に脳波計測を健常者で実施し、その性能を評価していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に作製したヘッドセットの性能を評価した後、脳卒中片麻痺患者での実際のBMI介入を予定している。脳卒中発症初期の神経系は不安定なため、訓練頻度を高くすることが難しかったが、健常者の脳活動レベルの半分程度を目標として、その脳活動を引き出すのに必要な訓練量を明らかにする。これにより訓練量のベースラインが設定でき、以後の訓練プログラムの決定の指針とすることができる。 予定では、被験者はインフォームド・コンセントを得た脳卒中片麻痺患者10名として大学病院入院直後からおよそ1ヶ月の間に3日以上の間隔を空け、計6日間のBMI訓練プログラムに参加してもらう。1回の訓練は、脳波計の取り付け・片付けなども含めて1時間以内に終える。被験者は、大脳皮質運動野付近から得られた脳波を反映したグラフを観察しながら、皮質興奮性をコントロールするように訓練する。そして麻痺側の上肢を運動しようとしたとき、かつ、十分に皮質興奮性が上昇した場合にのみ、電気刺激によって麻痺肢の運動が誘発される。 訓練プログラムの前後では、頭部全体の脳波トポグラフィを計測する。脳波トポグラフィでは、脳波の内、ミュー波やベータ波など身体運動に関連した特定の周波数成分の平均パワーを頭皮上の複数地点について計算し,その電位分布(脳波地図)を作成する。これを訓練前後で比較することにより、運動関連脳波の変化量を可視化することができる。
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Causes of Carryover |
3Dプリンタを購入する予定で予算計上をしていたが、外部委託によりデータ出力するほうが安価に済む可能性もあったため当面購入はせず、外部サービスと実機の比較検討をおこなうこととした。また予定していた英文添削サービスの利用がなかったことと謝金を必要とする被験者試験の実施は次年度に持ち越すことになった。
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Research Products
(6 results)