2019 Fiscal Year Research-status Report
3次元映像投影技術を用いた脳性麻痺児での歩行停止動作の分析と練習法の確立
Project/Area Number |
18K17708
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
木元 稔 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (40759586)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳性麻痺 / 歩行 / 歩行停止 / 3次元動作解析 / 歩幅 / 床反力 / 重心 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、健常児と脳性麻痺(cerebral palsy; 以下、CP)児における歩行停止動作のメカニズムを明かにすることである。本研究では、3次元動作解析装置だけでなく、3次元映像投影技術も用いることにより、身体と、停止位置を示す模擬の障害物との距離を意図的に変え、急停止に求められる歩行動作の要素を探究している。 2019年度は健常者18名、健常児12名、脳性麻痺児13名の計測を行った。分析の結果、健常者ではより速く歩いている時、模擬の障害物が身体に近い位置に表示されると、停止に必要な進行方向とは逆向きの力を、より早く・大きく発揮することが明かとなった。音声信号による歩行停止では、健常者の場合、左右の下肢を前後に開き停止していた(以下、下肢前後型)。しかし、身体と模擬障害物との距離が近い場合、両足を揃え(以下、下肢揃え型)、その後両側の足関節底屈運動により身体を伸び上がらせ、重心がそれ以上前方へ移動してしまうことを抑制していた。 CP児では、健常者と比べ歩行停止をするために要する時間が長く、歩数も平均で1歩多かった。また、歩行停止時の膝関節や足関節の角度が大きく、健常者とは異なる歩容であることにより、歩幅が小さかった。CP児では歩幅が小さいことが一因となり、歩行停止のために必要な進行方向とは逆向きの力を発揮しにくい状態であると考えられる。 また、CP児は身体と模擬障害物との距離に関係なく、下肢前後型よりも下肢揃え型の歩行停止動作を選択していた。さらに健常者とは異なり、歩行停止時の重心前方移動を減速するための、足関節底屈運動による伸び上がりがみられない症例が多かった。CP児では、歩行急停止のためのより有効な動作メカニズムを発揮することができず、歩行停止が困難になっていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析の途中において、2019年度中に計測した健常児と健常者のデータの一部に、床反力計の不調によるデータ欠損が確認され、再計測が必要となった。その後、Covid-19の影響で計測ができない状態になり、2019年度における健常児・者の計測目標人数は達成できずにいる。
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Strategy for Future Research Activity |
床反力計の不調は修理と調整により改善した。Covid-19の感染が収束すれば、健常児・者のデータ計測を再開できる見込みである。2020度中に全てのデータを計測、解析し、発表ができる計画に変わりはない。
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Causes of Carryover |
当初予定より、消耗品費(旅費)が節減できたため、次年度使用額が生じた。 使用計画としては、826,360円を学会参加のための参加費や旅費、消耗品の購入、被験者への謝礼金、論文作成費に用いる他、急な計測が必要になったためカメラの追加購入を検討している。
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