2021 Fiscal Year Research-status Report
3次元映像投影技術を用いた脳性麻痺児での歩行停止動作の分析と練習法の確立
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18K17708
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
木元 稔 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (40759586)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳性麻痺 / 歩行 / 歩行停止 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳性麻痺児では自立歩行が可能であるにもかかわらず、歩行の急な停止が困難であることが知られている。しかしながら、歩行を急に停止するために、どの程度歩数を要するか、どの程度時間を要するかは明らかになっていなかった。また、歩行停止が難しい理由を分析した研究もなかった。そこで本研究は、脳性麻痺児の歩行停止動作を、健常成人や健常児のそれと比較することを目的とした。 本研究の結果、健常児と比べ脳性麻痺児では歩行停止に必要な時間は平均で127%であった。健常児が1歩で歩行停止させる一方、脳性麻痺児では平均2.4歩を要した。脳性麻痺児は歩行停止において、ブレーキ力となる後方への力を発揮することが困難であった。その背景として、左右方向へ重心や圧中心の大きさが大きいことが挙げられ、前後への力を発揮しにくいことが、急な重心移動の停止を難しくさせていると考えられた。 以上の本研究は、快適な速度での歩行から、できるだけ早く停止することを運動課題として実施した。速く歩いた場合、歩行停止はより難しくなると推測されるが、歩行速度に複数の条件を設けるような課題設定は行わなかった。また、停止までの距離が短くなる場合、歩行停止はより困難になると推測されるが、歩行停止距離に条件は設けなかった。歩行速度と停止距離を規定しなかったことにより、健常児と脳性麻痺児では歩行停止に要する歩数が大きく異なる結果となり、左右それぞれの下肢が歩行停止時に発揮する力を分析することができなかった。今後は、歩行速度と停止までの距離を規定した歩行停止の分析を進め、脳性麻痺児が速い歩行、かつ、短い距離での歩行停止を条件とされた場合、どのように歩行を停止させるか解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
床反力計の不具合から、一部のデータを分析することができず、新たに被験者を増やし計測を行った。コロナ禍であり、データを計測する施設の利用が困難となり、追加データの収集にも遅れが生じた。しかし、床反力計の修理は完了し、必要数と見積もられた被験者数分のデータは計測を完了した。研究方法の妥当性についての論文は、現在査読を受けている。その他のデータについても、分析を進めている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
脳性麻痺児の歩行停止の困難さが、反応速度の遅さに起因するものかどうかを確かめるため、筋電計を用いた追加の解析を検討している。収集したデータの解析を終え次第、論文投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
データ収集の遅れから、論文投稿にも遅れが生じていた。論文投稿に必要なデータは計測を終えたため、英文校正費用として支出する予定である。必要に応じて、反応時間を確認するための筋電計を追加で購入するために、支出することも検討している。
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