2018 Fiscal Year Research-status Report
食道がん切除術後の嚥下障害の病態解明とリハビリテーション手技の確立
Project/Area Number |
18K17711
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兼岡 麻子 東京大学, 医学部附属病院, 言語聴覚士 (40815106)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 摂食嚥下障害 / 食道がん / 嚥下機能評価 / 嚥下造影検査 / 喉頭内視鏡検査 / 声帯運動障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道癌に対して食道切除術を受ける患者を対象に、2つの研究を開始した。 研究1:食道癌に対する手術前後の、患者の嚥下障害と摂食状況を調べることを目的として、食道切除術前、術後2週、術後3ヶ月の3回、喉頭内視鏡検査および嚥下造影検査を行い、手術前後での患者の嚥下機能と摂食状況の変化を検証した。取り込み基準を満たした対象者15名では、術後2週に声帯運動障害、喉頭侵入および誤嚥、咽頭残留を呈する者の割合が上昇したが、術後3か月ではいずれも有意に減少した。術後嚥下障害の特徴として、喉頭侵入および誤嚥は嚥下中に生じること、また梨状窩よりも喉頭蓋谷の貯留がより頻回にみられることがわかった。摂食状況は、術後2週では対象者の約1割が経口摂取困難となり、約5割が経口摂取と経管栄養とを併用していたが、術後3ヶ月では全例が普通食を経口摂取していた。術後嚥下障害の特徴と経過が明らかになったことにより、今後の研究では、その特徴に即したリハビリテーション手技を選択し、その効果を検証することが可能になる。 研究2:食道癌術後患者におけるとろみの程度と誤嚥、および咽頭残留の関連を検証することを目的として、術後2週間の嚥下機能検査において、異なる物性の検査食を用いて誤嚥の頻度を各条件で検証し、とろみ付加の誤嚥抑制効果を比較した。とろみの程度が高くなるにつれて誤嚥の頻度が減る傾向にあったが、咽頭残留の程度はとろみの程度と関連がなかった。食道癌術後患者では、とろみ付加による誤嚥抑制効果が見込まれるが、とろみ付加が咽頭残留量には影響を与えないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究3:食道癌術後嚥下障害の病態解明を目的として、食道切除術前、術後2週、術後3ヶ月の嚥下造影検査動画の動画解析ソフトを用いた解析を開始した。初年度は、取込基準を満たした15名の解析を終える予定であったが、ソフトの操作手技習得やデータ管理整備に時間を要したため、1名分の解析のみ終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降も研究1-3のデータ収集とデータ解析を進める。動画解析に時間を要し、解析作業に若干の遅れがでているため、業務効率を上げる目的で研究補助員を雇用する。
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Causes of Carryover |
初年度に見込んでいた人件費の支払いがなかったために、次年度使用額が生じた。次年度使用額28,797円については、翌年度分として請求した助成金金額と合わせて人件費等に使用する予定である。
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