2018 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of intervention for improvement of oral function: by using ultrasonography with image processing
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18K17714
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三浦 由佳 金沢大学, 新学術創成研究機構, 研究協力員 (30791587)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超音波検査 / 筋力 / 口腔機能 / 開口力 / 舌骨上筋群 / 輝度 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔機能が低下しつつある高齢者の多くは自宅や施設で生活している。侵襲性や専用の検査設備の不足の問題から、これらの高齢者全てにCTやMRI、嚥下造影検査による画像検査を行うことは困難である。そこで、侵襲性の低いエコーと画像のアセスメントを用意にするための画像処理を用いた口腔機能の客観的な評価方法を確立し、高齢者に実施されている口腔機能改善のための介入方法の効果のエビデンスを得ることが本研究の目的である。 2018年度は口腔機能に関わる筋力を測定可能なエコー画像のパラメーターを明らかにすることを目的とし、機能維持のためのトレーニング施設来場者のエコー画像の分析を行った。口腔機能として開口力に着目し、開口運動に関わる筋の一つとしてオトガイ舌骨筋に着目した。 68名(平均年齢77 ± 7.7 歳、男性39名)の横断走査において得られたオトガイ舌骨筋の厚み、輝度について測定し、開口力計を用いて測定した開口力との関連について調査した。単変量解析では開口力とオトガイ舌骨筋の厚み、輝度、そして握力、上腕二頭筋周囲長、年齢との間に有意な関連が見られた。多変量解析において握力で調整したところ、開口力とオトガイ舌骨筋の厚み、開口力とオトガイ舌骨筋の輝度において有意な関連が見られた。オトガイ舌骨筋の厚みが厚くなるほど、また輝度が低くなるほど、開口力が強い傾向にあった。 (オトガイ舌骨筋の厚み:β = 0.29; オトガイ舌骨筋の輝度:β = -0.26) これらの結果から、オトガイ舌骨筋のエコー画像上の厚み、輝度を測定することで口腔機能を評価できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は口腔機能に関わる筋力を超音波検査を用いて評価する方法を確立することを目標としていた。結果からオトガイ舌骨筋のエコー画像上の厚み、輝度を測定することで開口力を評価できる可能性が示唆されているため、計画通りの進捗であったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度はまず、オトガイ舌骨筋のエコー画像上の厚み、輝度を観察者の技術に影響を受けず評価可能な画像処理方法を作成する。エコー画像を計測する場合、画像を見慣れていないと計測すべき領域を白黒画像から認識することが難しく、評価は観察者の技術に影響を受ける。そこで、エコー画像内のオトガイ舌骨筋を自動的に着色する画像処理手法を作成する。これにより、観察者の技術の影響を受けない、エコーを用いた口腔機能の客観的な評価方法を確立する。 最後に、確立したエコーを用いた口腔機能の客観的な評価方法を用いて、口腔機能の改善に向けた介入である嚥下体操の有効性を検証する。画像処理を用いたエコーによる口腔機能の評価を定期的に行いながら嚥下体操による介入を行うことで嚥下体操の有効性を検証する。具体的な方法としては、自宅や施設で生活する高齢者を対象としたランダム化比較対照試験を行う。対象者をエコーで口腔機能の評価を定期的に行いながら嚥下体操を行う介入群と、エコーで口腔機能の評価のみ定期的に行う対照群とにランダムに割り付ける。3カ月後に、介入群と対照群における口腔機能が改善した者の割合、嚥下障害と誤嚥性肺炎の発生割合を比較する。これにより、嚥下体操の有効性が明らかとなる。
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Causes of Carryover |
エコー機器を当初の計画より安価に購入することができたため、余剰金が生じた。こちらは、翌年度に計画しているランダム化比較対照試験に必要な消耗品の購入に充てる予定である。
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