2019 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of muscle stem cell and mesenchymal stem cell by exercise induced metabolic and mechanical stress
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18K17722
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 悠城 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40758702)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 間葉系前駆細胞 / 慢性炎症性疾患 / 細胞老化 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋の慢性炎症性疾患は持続的な炎症とそれに伴う線維化により機能不全を呈する。比較的有効とされる運動介入は、その強度や頻度によっては症状を悪化させる可能性も有しており、そのメカニズムは未だ不明である。慢性炎症性筋疾患に対する運動による骨格筋再生と変性メカニズムの解明は有効な治療法を確立するうえで大変重要な課題である。 昨年度の研究で、慢性炎症性筋疾患モデルで増加する間葉系幹細胞のうち、Platelet-derived growth factor receptors alpha (PDGFRα)を発現する細胞で細胞死抵抗性と免疫回避的な表現系を有すること、さらに間葉系幹細胞は細胞増殖を抑制する因子の発現が低いことが明らかにした。本年度は、細胞増殖や細胞死に関連する因子の一つであるTrp53に着目し、Trp53ノックアウトマウスを用いた実験を実施した。Trp53ノックアウトマウスから単離した間葉系前駆細胞またはTrp53 WTから単離した間葉系前駆細胞をそれぞれ正常なマウス骨格筋に移植し、その後筋損傷を与えた。結果、Trp53ノックアウト間葉系前駆細胞が移植された骨格筋では、慢性炎症と線維化を認め、慢性炎症性筋疾患のメカニズムの一端を明らかにした。さらに、Trp53ノックアウト間葉系前駆細胞と正常間葉系前駆細胞では細胞障害に対する反応性が異なり、Trp53ノックアウト間葉系前駆細胞は免疫回避的な性質とともに、筋芽細胞C2C12の分化を促進する機能が減弱することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Trp53ノックアウトマウスの間葉系前駆細胞を用いた実験により、間葉系前駆細胞が筋再生に働くために必要な因子と変性をもたらす因子をそれぞれ明らかにすることができた。また、運動や薬剤によるメカニカルストレスやメタボリックストレスに対する間葉系前駆細胞の表現系の変化において一定の知見が得られており、当初の予定より順調に進展している。一方、筋幹細胞を用いた実験系では、十分な細胞数が得られず、計画通りに実験が進められなかった。そのため、筋芽細胞の細胞株であるC2C12を用い、筋実質細胞と間葉系前駆細胞との相互作用を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は筋実質細胞、特に筋幹細胞に着目した研究を進める。これまで間葉系前駆細胞で実施してきた実験系を応用して実験を進める。それらの結果を元に、筋実質細胞と間葉系前駆細胞との相互作用の検討を行う。 その後、当初の予定通り、DNAマイクロアレイおよびmiRマイクロアレイなどの手法を実施し、階層クラスタリング解析および KEGG pathway解析を実施し、代謝/力学ストレス感受性を制御する因子を探索する。 最後に、代謝/力学ストレス感受性を制御することで、筋再生を誘導する治療法を同定することを目的として、動物モデルを用いた治療実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた組織解析を本年度実施しなかったため次年度使用額が生じたため。次年度に組織解析のため使用する組織固定液、染色バッファー、1次抗体および2次抗体、in situハイブリタイゼーション用プローブの購入費用にあてる。
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