2021 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of muscle stem cell and mesenchymal stem cell by exercise induced metabolic and mechanical stress
Project/Area Number |
18K17722
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 悠城 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40758702)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 骨格筋 / 間葉系前駆細胞 / 筋幹細胞 / 運動 / メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋の慢性炎症性疾患は持続的な炎症とそれに伴う線維化により機能不全を呈する。有効とされる運動介入は、その強度や頻度によっては症状を悪化させる可能性も有しており、そのメカニズムは未だ不明である。慢性炎症性筋疾患に対する運動による骨格筋再生と変性メカニズムの解明は有効な治療法を確立するうえで大変重要な課題である。 本研究課題では、骨格筋再生と変性メカニズムの解明を目的とし、はじめに骨格筋の再生を担う筋幹細胞と骨格筋変性の原因となる間葉系幹細胞をマウス骨格筋より単離・培養した。慢性炎症性筋疾患モデルマウスから単離された筋幹細胞は細胞周期制御因子の発現が高い、一方、間葉系幹細胞は細胞周期制御因子の発現が低いことが明らかになった。さらに興味深いことに、慢性炎症性筋疾患モデルで増加する間葉系幹細胞のうち、PDGFRαを発現する細胞で細胞死抵抗性と免疫回避的な表現系を有することも明らかになった。また、これまでの研究成果により、正常なマウスと慢性炎症筋疾患モデルマウスに対する運動刺激は間葉系細胞の異なる反応を引き起こすことを明らかにしてきた。特に、細胞老化因子の発現に違いがあることがわかっていた。最終年度は伸展培養装置を用いて単離した骨格筋間葉系細胞に運動刺激の一つの要素であるメカニカルストレスを負荷し、その後の細胞表現系を解析した。結果、メカニカルストレスが間葉細胞の細胞老化を誘導することが明らかになった。さらに、特定のサイトカインや成長因子の存在下でのメカニカルストレス負荷は、細胞老化因子の発現亢進を抑制することも明らかになった。 骨格筋治療に有効であるとされながら、その作用機序に不明な点が残されていた運動の効果を、筋幹細胞と間葉系幹細胞を中心に解析を実施した本研究成果は、慢性炎症性筋疾患に対する運動による骨格筋再生と変性メカニズムの解明に寄与したと考えられる。
|