2018 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中ADLリハの標準化―介入すべき機能と目標値を個別に導き出す客観的指標の開発
Project/Area Number |
18K17728
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
藤田 貴昭 東北福祉大学, 健康科学部, 講師 (50735636)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳卒中 / リハビリテーション / 作業療法 / ADL |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】 脳卒中患者の日常生活活動の自立度向上を目的とした機能回復練習は,リハビリテーション技師一人ひとりの臨床経験に基づく判断で行われており,内容の均質性に課題がある.本研究の目的は,患者一人ひとりに最適な介入すべき機能と目標値を導き出せる客観的指標を開発することである. 【今年度の計画】 今年度は脳卒中患者の情報を収集したデータベースの作成と,一部の解析を行うことを計画していた. 【研究の進捗と成果】 ①本研究の遂行に必要なデータベースを作成した.②脳卒中患者のセルフケアと関連する心身機能とその水準,およびそれらの交互作用を分析した.結果,セルフケアの自立可否はバランス機能および麻痺側上肢機能と強く関連し,またこの2要因はセルフケアの自立可否に対して交互作用を有する可能性があることが明らかとなった.③脳卒中患者における各日常生活活動の自立に必要なバランス機能の経時的変化を分析した.結果,トイレ,更衣,階段昇降などの日常生活活動では,自立に必要なバランス機能が経時的に変化する可能性があることが明らかとなった.④脳卒中患者の歩行自立に必要な心身機能を決定木で分析した.結果,種々の心身機能のなかで麻痺側膝伸展筋力と下肢固有受容覚の機能状態の組み合わせが脳卒中患者の歩行の自立と関連することが明らかとなった.⑤脳卒中患者における日常生活活動の予後予測モデルの作成に適した解析方法を探索した.結果,ロジスティック回帰や決定木よりも多層パーセプトロンのほうが予測精度の高いモデルを作成できる可能性があることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定よりも早期にデータベースを作成することが出来たため,早い段階でデータ解析に着手することが可能であった.そのため計画を前倒しして進めており,成果の一部はすでに論文として公表することが出来ている.また他の知見も論文にまとめ投稿中である.そのため,本研究課題の進捗は順調であると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は今年度に引き続き,ロジスティック回帰,決定木,パス解析,多層パーセプトロン,ROC解析等の解析手法を用いて,食事,整容,トイレ,更衣,入浴,移乗,階段昇降などの各日常生活活動と心身機能の関係性を,交互作用や非線形構造を含めて明らかにしていく.
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Causes of Carryover |
研究を前倒しして進めているため,今年度は当初予定よりも成果の公表に関する費用(旅費,英文校正費,掲載費)が大きくなった一方で,データ収集を研究代表者自身が行って人件費・謝金を節約したため,若干の次年度使用額が生じた.現在,予想を超える多くの知見が得られているため,この次年度使用額は翌年度の研究成果の公表に関する費用に充てる予定である.
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