2018 Fiscal Year Research-status Report
不活動性疼痛のメカニズムの解明と予防・治療戦略の開発-電気生理学的手法を用いて-
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18K17734
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
濱上 陽平 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (20756374)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 不活動 / 痛み / 単一神経記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、骨折後のギプス固定などに伴う四肢の一部の不動、あるいは安静臥床に伴う全身の不活動が運動器慢性疼痛を惹起することが明らかになっている。本邦では成人人口の15.4%が運動器慢性疼痛を有しており医療経済的に多大な損失を生じている。今後、さらなる高齢化社会に向かう我が国において、運動器慢性疾痛患者の増加は大きな社会問題になることが予想される。よって、不活動性疼痛の病態ならびに発生メカニズムを解明することは、運動器慢性疼痛の予防・治療戦略開発の観点から極めて重要である。本年度は不活動が原因で生じる不活動性疼痛の病態メカニズムを解明することを目的に、ラット足関節を不動化した実験的不活動モデルを用いた、単一神経記録法による侵害受容器の電気生理学的記録・解析を開始した。その結果、まず初めに先行研究に従い、ラットの足関節を最大底屈位にて不動化する、不活動性疼痛モデルを作製し、不活動開始2週目から痛みが発生し始め、その後、不活動期間の延長とともに疼痛が増悪することが確認された。また、不活動性疼痛の末梢神経機構を解明するため、ラット足底皮膚を支配する伏在神経から単一神経記録をおこない、神経伝導速度の測定にて皮膚のAδ線維ならびにC線維を同定することができた。また、同定した痛覚線維の軸索伝導性の変化を検証するTwin Pulse Difference(TPD)ならびに活動依存的伝導速度(ADCCV)の測定手法を習得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
単一神経記録の実験手法ならびに解析方法の習得に想定以上の時間を費やしてしまった。しかし単一神経記録の記録・解析については習得したため、次年度、モデル動物を用いて不活動性疼痛の末梢神経機構を解明するために、引き続き研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている単一神経記録法による侵害受容器の電気生理学的記録・解析をさらに進める。同時に、不活動性疼痛の脊髄機構解明を目的に、in vivo 細胞外記録法を共同研究者から習得し、脊髄後角細胞の自発放電や足底皮膚への侵害的機械刺激・熱刺激に応答を記録し、解析を進める。また、不活動性疼痛の治療戦略の確立のために、振動刺激療法の鎮痛効果実証をおこなう、電気生理学的手法を用いてその鎮痛機構の解明を目指す。
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