軟骨変性をもたらす力学的ストレス強度閾値とメカノセンシング機構の解明

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K17736
• Research Institution: Niigata University of Health and Welfare
• Principal Investigator: 高橋 英明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (90636250)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 関節軟骨 / メカニカルストレス / メカノセンシング / TRPA1チャネル

Outline of Annual Research Achievements

関節軟骨の変性は，局所における力学的ストレスが過剰または欠如した状態で惹起させる．力学的ストレスの強度閾値やその機序を解明することは，リハビリテーションを実施する上で重要な情報となり得る．そこで，本研究の目的は，軟骨変性を惹起する生体内での力学的ストレスの圧力強度閾値の検証と，その生理的範囲逸脱から軟骨変性に至る反応経路の一端を明らかにすることである．
初年度は，軟骨変性に至る力学的ストレスの圧力強度閾値を明らかにすることに取り組んだ．しかし，当初の使用予定であった圧力測定フィルムが十分に機能しなかった．現在は，別の圧力センサーの作製に取り組んでいる状況である．
本年度は，力学的ストレスの過負荷による軟骨変性がTRPA1チャネルを介しているかについて，TRPA1阻害薬を用いて検証を行っている．実験対象にはラットを用い，力学的過負荷モデル（変形性膝関節症モデル：OAモデル）は，内側半月板を不安定にすることで作成した．グルーピングは，OA群，OA+TRPA1阻害剤投与群とし，阻害剤にはTRPA1チャネル選択的阻害剤であるA-967079を用いた．OA+TRPA1阻害剤投与群は，0.2mg/kg, 0.4mg/kg, 0.6mg/kgの３つの投与量別に３群を設定し４週間の皮下投与を実施した．現在，サンプリングまで終了しており，酸化ストレスの影響を見るため，尿サンプルも採取済みである．組織サンプルは，脱灰・脱水・パラフィン包埋後に各種染色にを施し，TRPA1チャネルが力学手的ストレスセンサーの一因であるかを検証する．加えて，尿サンプルはELISA法による酸化ストレスマーカーを測定し，軟骨変性との関係性を確認していく．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の使用予定であった圧力測定フィルムが十分に機能しなかった．そのため，新規に圧力センサーの作製に取り掛かっている為，予定よりも遅延している状況である．一方，平成31年度のTRPA1阻害薬を用いた検証は，順調に進んでおり当初の予定よりも早期に終了する予定である．

Strategy for Future Research Activity

平成30年度に作製予定であった圧力センサーは，継続して作製に取り掛かる．特に，平成31年度の研究計画については，早期終了が見込まれる．早期終了によって確保された時間を活用し，圧力センサー作製に十分な時間確保を行う．

Causes of Carryover

当初使用予定であった圧力センサーを変更し，新規に作製中である．現在も進行中であるため，次年度使用額が生じた．