2020 Fiscal Year Research-status Report
腸内フローラを治療ターゲットとした身体活動戦略の構築
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18K17742
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
宮本 俊朗 兵庫医療大学, リハビリテーション学部, 准教授 (30709340)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 身体活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
身体活動は食事と独立した腸内細菌叢の構成決定因子である可能性が示唆されており、腸内細菌叢の恒常性を維持・改善するための治療的戦略の一つとして考えられている。身体活動と腸内細菌叢の関連に関する報告は動物実験での結果が主であり、ラットにおける随意運動は腸内細菌叢の多様化を惹起するとともに、代謝産物の短鎖脂肪酸を増加させ、その影響はラットの成人期よりも青年期において高いことが報告されている。一方で、ヒトを対象とした研究では、プロラグビー選手、高体力の若年成人男性や活動量の高い成人女性において腸内細菌が多様化し、酪酸を産生する細菌群を多く認めたとしている。これらの報告は、ヒトにおいても身体活動は腸内細菌叢の構成と何らかの関連性を有している可能性を強く示唆する内容であるが、先行研究は横断研究に偏っており、また、対象者は 非常に限局している。本研究では,ヒトでの腸内細菌叢の構成を変化させうる身体活動の条件を明らかにし、腸内細菌叢を治療ターゲットとした身体活動戦略の構築につなげることを目的としている。 本研究デザインはランダム化クロスオーバー比較試験であり、対象者を健常若年成人および高齢者として、コントロール(Control)施行、軽中強度運動施行(Mild Ex.)を実施する。運動は週3-4回を6週間実施することとし、実施強度は45-50%予備心拍数として心拍計内蔵型活動量計にて管理を行う。それぞれ6週間のコントロール期間および介入期間の効果判定として、非侵襲的に腸内細菌叢の構成およびその代謝産物、体組成、身体機能評価、質問紙による食事摂取調査、身体活動調査を実施する。 研究を開始した全若年対象者が研究を完遂し、腸内細菌叢の検体定量・定質化も完了したが,COVID-19の影響により,高齢者に対する研究実施は難しい状況となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在まで、若年者における身体活動介入前後の検体を採取できている。これらの検体における腸内細菌叢のシークエンス解析は終了している。しかしながら、横断研究および介入研究のデータ解析において、身体活動以外の影響因子を調整した統計学的解析が実施できていない状況である。 また、高齢者における身体活動と腸内細菌叢の関連性を調査することも予定していたが、予想外の感染症の流行により、その計画が進められなくなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
感染症の流行によって,データ解析および高齢者への研究実施ができていないため,1年の研究期間の延長が必要である。この1年によって,若年者における統計学的解析を完了することは可能である。 しかしながら,高齢者における研究の実行は、感染症の流行が原因であり,ここ過去1年は状況の好変は認められていないため,今後の状況も厳しいと考えられる。若年者の取得された検体データのみで解析を実施していくこととし,高齢者への実施は感染状況に応じて実施することを検討するが,実施できたとしても少数例の実施と思われる。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行拡大により,解析実施機関への移動が制限され,また,高齢者の介入実施が困難となっている。それに伴って,予算の剰余が大きくなっている。研究期間延長による次年度繰越額は統計学的解析および高齢者の腸内細菌叢と身体活動の関連性調査に使用する見込みである。
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