2020 Fiscal Year Research-status Report
筋骨格モデリングシステムを用いた膝半月板損傷患者に対する保存療法の除痛機序の解明
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18K17743
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
緒方 悠太 久留米大学, 大学病院, 医療技術員 (00807951)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 理学療法 / 保存療法 / 動作解析 / 半月板損傷 / リハビリテーション / 筋骨格モデリングシステム / バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
半月板損傷患者に対する理学療法成績は手術成績と比較して同程度であるとされている一方で,理学療法対象者の中でも改善効果が十分に得られず,半月切除術へと帰結している患者がいる.理学療法による除痛機序に関しては不明な点が多く,理学療法による効果がある患者を見極めるためにも,除痛機序の解明は不可欠である. 令和2年度は新たに2名の被験者の測定が終わり,通算で8名の介入前後の研究測定がデータの欠落無く終了している.令和2年度より筋骨格モデリングシステムAnybody(AnyBody Technology社製)で算出される関節応力の妥当性をより高めるために,膝関節に靱帯を付加する作業を行っている.各靱帯の付着部,kinematicsおよびbiomechanicsを調査しモデルの中に組み込む作業に取り組んでいる.筋の様に靱帯の張力がある程度冗長性を持つ設定であれば,通常の解析方法で解析可能であるが,より現実的に受動張力のみで力を発揮するモデルにした場合 Force dependent kinematicsという解析手法が必要となる.この解析手法が歩行1試行の計算に数時間~数十時間の時間を要するため妥当性の検討に時間を要している. 筋骨格モデリングを用いない関節運動学データや筋力や可動域等の基礎データに関しては学会にて途中経過を報告している.介入前は患側の歩行時膝屈伸運動の低下を認めるが,介入後の患健差は全例で小さくなっていた.疼痛や症状に関しても全例で軽減した.可動域や筋力に関しては過半数以上で改善するが,患健差が残存している場合も多かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
筋骨格モデリングシステム等の解析環境に関しては計画通り進んでいる.しかしながらCOVID-19流行の影響により,当初の予定よりも被験者が集まっていない状態である.新規リクルートは再開しているが,予定した被験者よりも少ない状態となることが予測される.
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Strategy for Future Research Activity |
学会発表はオンライン上で行えるものを用いながら実施していき,最終的には英語論文への投稿を目指す.被験者数が不足している点に関しては,被験者のデータを元にした筋力低下や筋柔軟性の低下に対するシミュレーション解析などを行い,被験者数が少ない状態で得られる知見を明らかにする方針で解析方法を変更することを計画している.
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Causes of Carryover |
学会がweb学会に変更となり,本研究の予算を用いずに学会参加を行ったため,研究費に余剰が生じた.残額は英文校正費用や投稿料,学会発表費用および筋骨格モデリングシステムのライセンス維持費として使用する予定である.
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