2019 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between interpersonal response based on body contact and sensory features in children with ASD
Project/Area Number |
18K17750
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
松島 佳苗 関西医科大学, 医学部, 講師 (60711538)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 対人コミュニケーション / 触覚 / 視線計測 / 自律神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自閉スペクトラム症児の非言語コミュニケーションの発達に着目し、乳幼児期に親子の遊びの中でも取り入れられることが多い「くすぐり」を用いた関り(遊び)に関して、客観的な指標を用いて検証することを目的としている。「くすぐり」によって生じる感覚は、他者によって引き起こされることから、自他の認識といった観点からも注目されている。通常、「くすぐり」は接触することによる触覚刺激を伴うが、自閉スペクトラム症児の多くは感覚刺激に対して特異的な行動反応(感覚刺激に対する過剰な反応や過小な反応、または過度な感覚的側面への興味など)を示すことが明らかとなっている。そのため、自閉スペクトラム症児の感覚刺激に対する行動特性は、「くすぐり」遊びを媒介とした乳幼児期の社会的関わりに影響を及ぼしている可能性が考えらえる。また、この様な感覚刺激に対する行動特性は、自閉スペクトラム症の中核的症候の1つである社会性の問題よりも、早期にその特性が顕在化しやすいことを報告している研究もあり、早期支援を考える上で重要となる。 本研究の対象は、早期発見や早期からの有効な支援方法の開発を目的としているため、就学前の幼児を対象とし、自閉スペクトラム症の発症率が高い自閉スペクトラム症児の兄弟姉妹も対象として含めることにより、自閉スペクトラム症の診断には至らない様な軽微な傾向も含めた検証を試みることとした。 客観的な指標として視線と自律神経活動を中心に計測を行うが、得られた結果を解釈する上では行動反応の観察や子どもの内観も重要になる。本年度は、実験プロトコールを作成し、その妥当性について再検証を行い、観察指標についても検討を実施した。「くすぐり」においては、相手の意図を含んだ行動の予測が社会的関わりの指標となることが示唆されるため、「くすぐり」の直前に観察される反応に着目して本研究課題を進めていくこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、研究代表者の所属機関の変更に伴い、新たな環境において研究を継続するために研究環境を整えることに時間を要した。特に、研究プロトコールを見直しを詳細に行うことを重視して取り組み、新しい所属機関において倫理申請を行い承認を得た。また、被験者をリクルートしていく上で、協力が得られる研究協力機関(児童福祉センター 等)に対して、本研究に関する説明を行い、研究協力に関する依頼等を実施してきている。そのため、本研究を進めるために必要な研究環境を整えることはできているが、COVID-19が深刻な状況にある現在、被験者の健康管理・感染予防を最優先に考え、データ取集は一切実施できない。以上の理由から、本研究課題の進捗状況としては、遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の状況に応じて適切な対応を行い、現状が収束した段階でデータ収集が円滑に進められるように、研究協力機関に対する実施に関する説明などは適宜行っていく。データ収集が可能になれば、計画に沿ってデータ取集を進める。 また、データ収集ができない期間も今後の研究に役立てることができるよう、本研究の実施内容を再検討するために調査した内容を整理し、学術誌でレビュー論文としてまとめた内容を報告できるようにする。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究代表者の所属機関の変更に伴い、倫理委員会への申請も含めて新たな環境で研究が進められるように研究体制を整えることに時間を要した。そのため、当初の計画段階で予定していたデータ収集・解析までを実施することが出来ず、データ収集や解析、結果の報告に用いる予定であった額が、次年度使用額として生じた。次年度は、COVID-19 の状況が落ち着き、被験者が安全に研究に協力できる環境でデータ収集が可能になり次第、データ収集を開始したいと考えている。
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