2020 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between interpersonal response based on body contact and sensory features in children with ASD
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18K17750
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
松島 佳苗 関西医科大学, 医学部, 講師 (60711538)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 対人コミュニケーション / 触覚 / 視線計測 / 自律神経活動 / 乳幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自閉スペクトラム症の非言語的コミュニケーションに着目し、乳幼児期に親子間で展開されることが多い「くすぐり遊び」中の対人コミュニケーションを客観的指標を用いて分析することを目的としている。くすぐりに対する反応は、他者の存在によって生起される非常にユニークな反応である。しかし、自閉スペクトラム症児は、触覚を含めた様々な感覚刺激に対して特異的な反応を示すことが知られている(例、過度に触られることを嫌がる、もしくは自分から過度に触れることを好む 等)。くすぐり遊びを含む、乳幼児期の親子遊びを通した非言語的コミュニケーションは、子どもの様々な発達の基盤ともなるものであり、その特徴を客観的に分析することができれば、自閉スペクトラム症の早期支援にも応用することが可能であると考えている。 令和2年度は、13組の就学前児とその母親(そのうち、4名は自閉スペクトラム症の診断を受けている)の協力を得て、実際にくすぐり遊びの様子をビデオ映像に記録し、行動反応と視線の分析を行った。一連のデータ収集では、令和元年度に作成した実験プロトコールを使用し、母親は音声による教示刺激に合わせて、くすぐり遊びを行った。くすぐり遊び時の行動反応は多様性があることを重視し、より自然な条件と視線計測の条件でそれぞれの行動反応を記録し、まず行動反応をコード化することを試みた。行動反応のコード化においては、行動反応に関する指標の定義を先行研究等を参考に事前に作成し、その指標に基づきコード化を実施した。また、くすぐり遊びを行う直前の心拍変動(HRV)も心電図を用いて計測した。安静時の心拍変動は、自己調整(self-regulation)とも関連することが知られており、子どもの精神生理学的な状態を捉えることができると考えられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、COVID-19の状況を考慮し、データ取集は最小限の人数とし、計測は全て研究代表者が個別で実施した。感染対策を十分に行いながら、令和元年度作成した実験プロトコールに基づきデータ収集を行った。しかし、目標としているサンプルサイズには達していない状況である。特に、研究対象者が幼児であるため、子ども自身が実験環境に慣れ、より自然で心理的に負担のない状況で実施することが最も重要である。そのため、複数回データ取集の機会を設定するなど、個別性を重視した対応で進めて行くことが必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
行動反応、視線、自律神経活動は個人間での分散が大きい指標である。そのため、令和3年度も引き続きデータ取集を進めて行くことにより、これまでのデータで示されている結果の妥当性について検討する。また、令和2年度に、詳細な解析にまで至っていない視線のデータについて、追加解析を進めていきたいと考えている。 さらに、くすぐり遊びの教示用の音声データは既に作成しているため、各家庭での自然な状況でデータ取集する方法に関しても検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、データ収集が行える期間などが限定されており、予定通りにデータ取集を進めることができなかった。また、データ収集を実施する際にも、感染対策としてデータ取集に関わる人員を最小の人数とし、研究代表者が個別で全てのデータを取集したため、1名のデータを取集するにも時間を必要とした。 令和3年度は、追加データ収集に際して、研究協力者への協力謝品(QUOカード)、検査用紙などの消耗品の購入を行う。また、視線解析に必要な解析ソフトを期間を年度内に限定して使用することを計画している。
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Research Products
(1 results)