2020 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms underlying immobilization-induced muscle pain and the effect of physical therapy intervention
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18K17751
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
後藤 響 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 客員研究員 (90813436)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 不活動性筋痛 / 筋収縮運動 / 電気刺激療法(EMS) / 神経成長因子(NGF) |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに,不活動性筋痛の発生メカニズムには神経成長因子(NGF)の発現増加に加え, M1マクロファージの集積とそれに伴うIL-1βの発現増加が関与することを明らかにした.一方,不活動性筋痛の原因はギプス固定などによる骨格筋の不活動であり,理学療法学的治療戦略としては不活動を回避し,頻回な筋収縮運動を促すことが重要である.このような状況下で活用できる理学療法学的手段として電気刺激療法(EMS)がある.そこで,今年度は不活動性筋痛に対するEMSの介入効果を検討した. 実験には7週齢のWistar系雄性ラット34匹を分析対象とし,無作為にこれらを①通常飼育する対照群(n=7),②両側足関節を最大底屈位でギプスで2週間不動化する不活動群(n=10),③不動の過程でベルト電極式EMSを用い筋収縮運動を負荷するEMS群(n=17)に振り分けた.そして,EMS群は2秒通電,6秒休止の1:3サイクルで刺激するEMS①群(n=8)と2秒通電,2秒休止の1:1サイクルで刺激するEMS②群(n=9)を設定した.なお,EMSの刺激条件は刺激周波数が50Hz,刺激強度が4.7mAで,刺激時間は,EMS①群が20分/回,EMS②群が15分/回とし,週6回の頻度で実施した.結果,腓腹筋の圧痛閾値は不動1週後,2週後ともに不活動群,EMS①群,EMS②群の3群は対照群より有意に低値を示したが,実験群の3群間を比較するとEMS①群とEMS②群は不活動群より有意に高値を示し,この2群間には有意差を認めなかった.また,腓腹筋のNGF含有量を比較すると,不動群,EMS①群,EMS②群は対照群より有意に高値を示したが,実験群の3群間を比較するとEMS①群,EMS②群は不動群より有意に低値を示し,この2群間には有意差を認めなかった.つまり,EMSを活用した筋収縮運動は不活動によって惹起されるNGFの発現を抑制し,筋痛の発生を軽減する効果があることが示唆された.
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