2021 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性膀胱機能障害への磁気刺激神経調整的新システムの確立‐基礎・臨床的検討
Project/Area Number |
18K17752
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
木村 隆 琉球大学, 病院, 助教 (50748019)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 過活動膀胱 / 低活動膀胱 / 神経因性膀胱 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究で対象とする疾患は、糖尿病に伴う頻尿、尿失禁、残尿、尿閉といった膀胱機能障害である。糖尿病に伴う膀胱機能障害の特徴は、初期には過活動膀胱、末期には残尿を伴う低活動膀胱という相反現象の併存である。腎不全に移行する助長因子となっているにも関わらず、網膜症、腎症、神経障害と比較して認知されていない。過活動膀胱には抗コリン薬が一般的に用いられるが、低活動膀胱への抗コリン薬投与は逆に残尿、尿閉といった有害事象を引き起こす。したがって、糖尿病性膀胱機能障害の薬物療法は治療抵抗性であることが多い。糖尿病に伴う膀胱機能障害の経過は複雑で十分に解明されていない。初期は頻尿・尿意切迫感といった過活動膀胱であるが、糖尿病末期には排尿筋は疲弊、残尿、尿閉といった低活動膀胱となり、ついには腎不全に至る。 糖尿病における膀胱機能の時間的経過による変化を研究するために動物実験を行った。SDメスラット(月齢3カ月)に、ストレプトゾトシンを腹腔内投与(65 mg/kg)して糖尿病モデルを作成した。糖尿病モデルとして排尿状態を把握するために投与3日、2週、4週、8週、12週時に膀胱内圧測定を施行した。各週でコントロール及び糖尿病モデル8頭ずつの実験をおこなった。コントロール群と比較して糖尿病モデルにおいて膀胱収縮間隔は2週目で約70%短縮し、頻尿の傾向を認めた。4週以降は時間経過に伴い膀胱収縮間隔は延長し、12週目には約318倍と有意に延長し、残尿量の増加がみられた。今回の基礎実験で糖尿病発症後2週で過活動膀胱、4週目以降で低活動膀胱になることが示唆された。昨年に引き続き糖尿病ラットの膀胱組織を採取して、マグヌス装置(マイクロティッシュオーガンバス)を使用してコントロール群と比較した。現在、頭数を増やして解析を行っている。今後薬剤や磁気刺激によるに対する反応も検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験担当者の国内留学のため、実験中断時期があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病モデルを使用し、糖尿病の病期による膀胱機能・尿道機能の経時的な変化を解明することができた。また糖尿病モデルの膀胱組織を使用して組織学的変化や生理学的な変化を検討することができた。現在、頭数を増やしてコントロ-ル群との比較を統計学的解析を行っているところである。今後薬剤や磁気刺激によるに対する反応も検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ流行のため学会がWEBに切り替わったため。 新型コロナの流行状況を確認し現地参加できる学会に関しては参加を予定している。 また、研究を続行し、生理学的な変化に加えて組織学的な変化の探求を行う予定である。
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