2018 Fiscal Year Research-status Report
超音波エラストグラフィを用いた人工股関節後の機能的脚長差の発生・治療機序の解明
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18K17755
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Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
中野渡 達哉 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (10713638)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脚長差 / 超音波診断装置 / エラストグラフィ / 人工股関節置換術 / 補高装具 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、人工股関節置換術後患者を対象とする前の基礎研究として、当初の研究仮説である「人工股関節置換術後の機能的脚長差発生には、股関節外転筋の硬さが関連する」と「装具の使用が股関節外転筋の硬さを改善する」について、健常成人を対象に予備的な検証を実施した。 男性12名、女性10名を対象とし、正常立位、股関節装具により模擬的機能的脚長差を設定した立位、模擬的機能的脚長差を補高装具で補正した立位の3条件下にて、大腿筋膜張筋および大腿筋膜のスティフネスを超音波エラストグラフィを用い計測した。計測時には下肢荷重計を用い下肢荷重量が3条件間で一定であることを確認しながら実施した。 結果として、模擬的機能的脚長差の条件において大腿筋膜張筋と大腿筋膜のスティフネスは正常立位に比べ有意に減少した。さらに、補高装具の補正下でそのスティフネスは正常立位と同等に戻ることが示された。前者の結果は研究仮説1つ目の「人工股関節置換術後の機能的脚長差発生には、股関節外転筋の硬さが関連する」を支持し、後者の結果は研究仮説2つ目の「装具の使用が股関節外転筋の硬さを改善する」を支持するものと考えられる。 本研究結果を、World Confederation for Physical Therapy Congress 2019へ演題として登録し採択されたため、2019年5月に発表する予定となっている。したがって今年度の補助金は、主に解析用のパソコンや実験用の消耗品の購入と学会登録費に当てられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の健常成人を対象とする基礎研究により、当初の研究仮説の「人工股関節置換術後の機能的脚長差発生には、股関節外転筋の硬さが関連する」と「装具の使用が股関節外転筋の硬さを改善する」を支持する結果が得られた。また実験手順や解析方法についても一連のプロトコルを作成することができた。したがって、2019年度には当初の計画通り人工股関節置換術後患者を対象とする臨床研究をスムーズに実施することができると見込まれるため、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の実施については、当初の計画通り、人工股関節置換術後患者を対象とする臨床研究を開始し、研究仮説の1つ目の「人工股関節置換術後の機能的脚長差発生には、股関節外転筋の硬さが関連する」を検証するための前向きコホート研究ならびに、研究仮説2つ目の「装具の使用が股関節外転筋の硬さを改善する」を検証するためのランダム化比較試験までを2019年度中に計画している。 研究結果の公表については、2019年5月のWCPT Congress 2019で発表する他、その結果に関する論文を投稿していく計画である。
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Causes of Carryover |
今年度の本研究では、健常成人のみを対象としたため、超音波計測時に必要な専用アタッチメントや媒介物質を購入する必要がなかったが、2019年度に実施する計画の臨床研究の際には、患者を対象するため、専用アタッチメントや媒介物質を購入する必要があり、次年度使用額が生じている状態である。
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