2021 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷後排尿障害における脊髄神経機構の研究~排尿障害の病態生理解明を目指して~
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18K17756
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
瀬高 裕佳子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (20404767)
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Project Period (FY) |
2019-02-01 – 2024-03-31
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Keywords | 排尿障害 / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、胸髄で脊髄を半切した脊髄損傷モデルを作成し、排尿障害時における仙髄排尿中枢などの排尿反射中枢がどのように障害されているかを調べ、さらに仙髄排尿中枢のみで排尿がどのように回復できるのかを神経生理学の観点から解明することである。 これまでの慢性動物の実験成果より、排尿の現象は膀胱筋の収縮による膀胱内圧の上昇ばかりでなく腹圧の上昇も不可欠であることが腹壁筋の筋電図記録で明らかになった。排尿には膀胱内圧の上昇と同時に腹壁筋の筋活動が必要であり、仙髄の排尿に関する神経回路と腹壁筋の筋活動を促す神経回路が協調して働く必要がある。 令和3年度では、昨年度と同様に腹壁筋の筋活動に伴う反回抑制回路が排尿時にどのような活動をするかを調べた。実験は成ネコを用いて、セボフルラン+笑気+酸素吸入麻酔下にて脳定位固定装置に固定した。第1腰髄から第3仙髄まで椎弓切除を行い、脊髄を露出させた。一側の腹壁筋支配神経に双極カフ電極を装着し、支配神経に電気刺激を加えられるようにした。その後、ガス麻酔からウレタン+αクロラロース麻酔に変更した。膀胱に尿道からカテーテルを刺入し、37度に温めた生理食塩水を一定速度で注入装置で膀胱内へ注入できるようにした。2M NaCl溶液を充填したガラス管微小電極を第1から第2腰髄の灰白質に刺入し、腹壁筋支配神経に電気刺激を加えて、運動軸索の反回側枝からシナプス性に活動電位が誘発されるレンショウ抑制性介在ニューロンの活動電位を細胞外記録にて記録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで膀胱にカテーテルを挿入した慢性動物を作成し、膀胱内にリンガー液を注入して排尿反射を誘発することができている。慢性動物では、排尿時に腹壁筋の筋活動が高まり腹圧を上昇させることが明らかになった。これにより排尿時には外尿道括約筋と腹壁筋が同時に脊髄で制御されていることが示唆された。これまでの研究で、腹壁筋運動ニューロンと外尿道括約筋運動ニューロンにおいて、ともに運動ニューロンへの反回抑制は下肢筋運動ニューロンと比べて弱く、レンショウ抑制性介在ニューロンが単に運動ニューロンを抑制する機能ではなく別の機能を併せ持つことが考えられる。 令和3年度では、腹壁筋の筋活動に伴う反回抑制回路が排尿時にどのような活動をするかに着目し、ウレタン+αクロラソース麻酔下で、排尿におけるレンショウ抑制性介在ニューロンの活動電位を細胞外記録にて記録した。ただし、組織学的な解析を十分に行えておらず、研究は一部遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
レンショウ抑制性介在ニューロンの活動に関して、組織学的な解析を行う。また、腹壁筋運動ニューロンと外尿道括約筋運動ニューロンは排尿時に協調して活動するが、それぞれの運動ニューロンのレンショウ抑制性介在ニューロンが、排尿時にどのような活動を示すか明らかにする。さらに、セボフルラン+笑気+酸素吸入麻酔下で脊髄損傷後モデルを作成して、半切後5日目において、ウレタン+αクロラロース麻酔で排尿障害時におけるレンショウ抑制性介在ニューロンの活動様式を調べる。腹壁筋運動ニューロンのレンショウ抑制性介在ニューロンは第1・第2腰髄から、外尿道筋運動ニューロンのレンショウ抑制性介在ニューロンは第1仙髄・第2仙髄から細胞外記録を行う予定である。さらに、排尿障害時におけるレンショウ抑制性介在ニューロンの活動性を高め、正常な排尿を誘発することについても調べる。
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Causes of Carryover |
実験に必要なバイタルサインモニター、脳固定装置、増幅器等の電気生理学備品、顕微鏡や手術器具等は、すでに設置してあるものを使用した。今後、ニューロンの活動電位や膀胱内圧等のデータをコンピューターに取り込むためのインターフェイスが必要であり購入予定である。また、飼育のための飼料や薬品、電子部品の購入も予定している。
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