2019 Fiscal Year Research-status Report
脳血管障害患者の行動獲得に対する新しい行動練習プロトコルの効果検証と予後予測
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18K17765
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
渡辺 愛記 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (80508044)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳血管障害 / 行動練習 / 麻痺手 / 難易度 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳血管障害患者の日常生活における行動練習において,セラピストの介入方法や経験にとらわれず,同等の結果を導くような効果的な行動練習法を確立するため,麻痺手での日常生活の行動を評価,難易度設定し,結果から適切な行動練習を選択できる評価表Activities Specific Upper-extremity Hemiparesis Scale(ASUHS)を開発した.これにより,多くの生活動作の具体的な工程が麻痺手によりどの程度うまく行えるかを客観的に評価でき,それらの項目の難易度も明らかにできる点が本評価表の新奇性である.そのため,セラピストは患者が次に行えるようになる生活動作を把握でき,麻痺手のレベルに合わせた目標設定と訓練課題の提供がしやすくなる. ASUHSのAカテゴリーはADL,IADLの項目である.Bカテゴリーは,Aカテゴリーを細かい動作に分けた項目から成り,CカテゴリーはBカテゴリーをさらに細かい動作に分けた項目から成り,全168項目から構成されている.Cカテゴリーの中の各項目はそれぞれの反応に応じて以下の4段階で得点が付けられる:1点(麻痺手で動作を行えない)~4点(正確に動作が可能). 脳血管障害患者145例に対し,ASUHSにおける信頼性,妥当性および項目難易度の階層性を検証した.難易度が明らかになったことで,患者が次に獲得すべき生活行動の目安を示すことができる.ASUHSを用いることで,セラピストは経験則によって麻痺手に対する生活動作訓練を提供するのではなく,患者の能力に合った生活動作の訓練項目を段階的に提供することが可能になる. 今後は,FIMやFMAといった既存の評価尺度を用いて,日常生活で実施頻度の高い行動が麻痺手にて遂行可能になる機能レベルと予測因子についてASUHSを用いて検証する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目に予定していたシステム構築を評価表作成に変更したが,その効果検証を実施したため,おおむね計画通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,FIMやFMAといった既存の評価尺度を用いて,日常生活で実施頻度の高い行動が麻痺手にて遂行可能になる機能レベルと予測因子についてASUHSを用いて検証し,臨床的応用を目指す.
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Causes of Carryover |
予定していた人件費の支出の必要性がなくなったこと,また,論文が年度内に採択されなかったため,英文校正代や論文掲載費が生じなかったため,次年度に使用する予定である.
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