2019 Fiscal Year Research-status Report
ケトン体誘導食が持久性運動能力に及ぼす効果とその作用メカニズムの解明
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18K17767
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
掛橋 千彰 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (80535683)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ケトン食 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度より引き続き、並行して実施してきたラット骨格筋の解析を進めた。ラットに4カ月間のケトン食を摂取させ、その後、長趾伸筋の摘出を行い、生化学的な手法により、筋の適応変化を調べた。4週間のケトン食摂取は、血中のケトン食濃度を有意に上昇させた。また、加齢に伴う体重所増加がケトン食によって有意に抑制され、過去の知見を追認した。ラット長趾伸筋の検討では、ケトン食摂取による筋線維組成の遅筋方向への移行を再度観察した。加えて、いくつかの代謝酵素活性を検討した結果、代表的なミトコンドリア酵素の活性がケトン食摂取により上昇していた。さらに、いくつかの代謝経路に属する酵素のタンパク質発現量をウェスタンブロッティング法によって検索した結果、ミトコンドリアの代謝に関する酵素群がケトン食摂取によって有意に増加した。これらの成果は、ケトン食摂取は、代表的な速筋である長趾伸筋の有酸素的代謝能力を改善することを示唆している。すなわち、ケトン食の摂取は、我々の仮説通り、骨格筋のパフォーマンスの改善もたらす代謝能力の向上に寄与する可能性がある。これらに加え、新年度においては上記変化をもたらす機序について検討することにしている。また、併せて、昨年度我々はケトン食摂取が摘出骨格筋の張力パフォーマンスの改善をもたらさないことを確認しているが、今回の結果は昨年度の成果に反するものであったと考えられる。この齟齬についても、検討。解釈を加える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの計画についてはやや仮説と異なる状態になっているが、ラットの検討においては、仮説に一致する知見と新たなケトン食の効果についての知見を得ていることから、研究が大いに進展していると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ケトン食が骨格筋の有酸素的代謝能力を改善する機序について、検討する。また、ケトン食が筋パフォーマンスに及ぼす影響について、骨格筋の有酸素的適応との方向性の相違について、検討する。
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Causes of Carryover |
試薬の購入にキャンペーン品を積極的に使用したことで次年度使用額が生じたと考えられる。次年度の物品費として活用する。
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