2018 Fiscal Year Research-status Report
ドーピング禁止薬物の投与による代謝的適応にエピジェネティクスな制御は関わるか
Project/Area Number |
18K17792
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
星野 太佑 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (70612117)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 骨格筋 / ミトコンドリア / ヒストン脱アセチル化酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,クレンブテロール摂取が骨格筋に与える影響を明らかにすることを目標に研究をおこなった.ラットに対するクレンブテロールの3週間の摂取が,特にミトコンドリアの形態とそれを制御するタンパク質の発現にどのような影響を与えるのか,検討した.その結果,速筋線維割合の増加に伴い,ミトコンドリアの体積が減少すること,また,ミトコンドリアの形態を制御するタンパク質が減少することがわかった.以上の結果をまとめ,現在学術雑誌に投稿している状況である. 次に,そのような変化にエピジェネティクスな制御が関連するのか,ヒストン脱アセチル化酵素4の核移行を蛍光免疫染色法を用いて,検証した.その結果,ヒストン脱アセチル化酵素4の存在を確認できた核の数に,クレンブテロール摂取による変化は見られなかった.このことから,速筋線維割合の増加やミトコンドリア体積の減少に,ヒストン脱アセチル化酵素4の核への移行は伴わなかった可能性が考えられる.しかしながら,蛍光免疫染色法では,核内のヒストン脱アセチル化酵素4の量を定量することは難しいと考えられる.以上のことから,今後は核や細胞質分画のタンパク質を抽出して,ヒストン脱アセチル化酵素の核への移行をウエスタンブロッティング法により,定量する必要があると考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を学術誌に投稿していることから,研究はある程度順調に進展していると考えられる.一方で,方法の選択を間違っていた部分もあることから,実験を行う前に,実施方法で明らかにしたいことを明確にできるのか,事前に考慮する必要があった.
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画で述べていた脂肪細胞の解析をするには至っていない.脂肪組織重量は有意に減少していたため,脂肪細胞の熱産生タンパク質やミトコンドリアのタンパク質量も変化している可能性が考えられる.以上のことから,骨格筋の解析にとどまらず,脂肪細胞の検討を今後の検討課題にしたい.
|
Causes of Carryover |
購入すべき物品を別の予算で工面できたため,翌年度分に使用する予算とした.翌年度の消耗品に使用する.
|