2018 Fiscal Year Research-status Report
季節変化に伴う大気汚染物質濃度と気象条件が喘息体質者の運動後の肺機能に及ぼす影響
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18K17794
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| Research Institution | Nara University of Education |
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Principal Investigator |
高木 祐介 奈良教育大学, 保健体育講座, 准教授 (70707702)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 喘息 / 運動 / 季節変化 / 大気汚染 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大気中に浮遊する粒子状の大気汚染物質及び気象条件の変化が喘息体質者の運動時の肺機能低下に及ぼす影響を全国規模で疫学的に検証することである。具体的には、全国の複数の都道県の学校現場において、体育実技授業でみられる運動を想定した短時間（6分間）の運動負荷テスト（「ややきつい」強度のフリーランニング）を四季それぞれで、しかも同時期に実施し、季節と地理的要因によって変化する大気汚染物質濃度が喘息体質者の運動時の肺機能に及ぼす影響を明らかにする。
2018年度は、予備的な実験で、喘息体質の有無による階段昇降時の肺機能指標及び炎症性反応指標の変化を検証した。メインの調査では、鹿児島県にて火山灰の程度が喘息体質を有する者の運動時の肺機能変化に及ぼす影響について検証した。メインの調査の対象者は、喘息体質を有する者8名と喘息体質が無い者6名とした。調査は、2018年7月（夏季調査）と同年12月（冬季調査）に行った。対象者は、夏季及び冬季の両方の調査に参加した。調査内容は、予測最大心拍数の80%以上超える強度での6分間のフリーランニングとした。フリーランニング前後において、気象条件（気温、相対湿度、粉塵濃度）・肺機能指標（%一秒量等）・炎症反応指標（呼気中一酸化窒素）・運動負荷指標（脈拍数・RPE）及び呼吸困難感を評価した。また、環境省HPから大気中の粒子状物質の濃度について測定値を入手した。調査の結果、喘息体質を有する者の冬季の運動後の肺機能指標は運動前に比して低値を示した。喘息体質を有する者の炎症性反応指標である呼気中一酸化窒素の測定値は、運動後において一過性に下がり、その後、安静時の水準まで増加した。喘息体質が無い者では、肺機能指標及び呼気中一酸化窒素ともに大きな変化はみられなかった。今後、詳細な解析を行い、関連学会にて成果を発表する予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年に予定していた調査は、自然災害と人為的災害の影響を大きく受けた。具体的には、7月に山口県を襲った豪雨によって山陽本線が不通になり、対象者が通学困難になったため、夏季の調査ではデータ不足になった。さらに、10月には山口県周防大島と本州を結ぶ送水管に大型貨物船が衝突し、送水管が破断。この影響から、調査対象の学校は断水状態になり、休校が続いたため、秋季及び冬季の調査を断念した。これらから、四季の変化を同時に評価する予定の北海道と他の本州のメインの調査は、山口県の調査と足並みを揃えるために全て延期になった。現在、4月入学の学生を対象に、北海道と本州の2つの学校にて、新たに喘息体質者の選定調査を実施しており、2019年秋季から調査を開始する予定である。
一方、鹿児島県で実施した夏季と冬季における火山灰の程度の違いが運動時の肺機能変化に及ぼす影響を評価する調査は、無事終了した。以上から、本研究における進捗状況は「やや遅れている」状態と考えられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
現在、北海道と本州の2つの学校において、今春4月入学の学生を対象に喘息体質者の選定調査を実施している。この研究は、四季を通して行うため、大学4年生や短期大学2年生、高等専門学校5年生を対象にすることができない。また、教育実習や航海実習等の長期実習のため、1季節の調査ができない可能性もある。そのため、対象者の選定に時間がかかっている。これを夏季までに終わらせ、研究代表者が現地で最終的な対象者選定を行い、2019年秋季から北海道及び本州にて一斉調査を開始する予定である。2019年秋季、2019年冬季、2020年春季、2020年夏季の計4回、調査を実施する。
また、鹿児島県での調査の成果は日本体力医学会あるいは日本衛生学会等、関連学会にて発表する予定である。年度内に論文発表も行う予定である。
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Research Products
(1 results)
