2019 Fiscal Year Research-status Report
異言語話者間の学習をめぐるフィルムエスノグラフィー
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18K17807
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鷲谷 洋輔 同志社大学, スポーツ健康科学部, 助教 (60786276)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 薄い記述 / フィルムエスノグラフィー / 質的調査 / 映像 / 言語 / 学習 / 身体文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、当該研究における①データの収集(カナダ、北海道、ニュージーランド)、②これまでの研究成果の国際学会発表(ニュージーランド、オーストラリア)、および③研究成果の論文執筆の三点にまとめられる。①については、研究計画通りカナダにおける異言語話者間のコミュニケーションに関する聞き取り、参与観察を実施した。研究対象者を広げ、インタビューと映像撮影を行い、前年度までの実績に積み重ねられるデータを収集した。さらに、言語とコミュニケーションについて、特にマイノリティの言語実践と身体活動を補足的にとらえることの重要性から、アイヌ語話者、マオリ語話者の実践の調査を行った。②については、現状の成果をまとめ、各研究会等で報告することに加え、国際学会での発表(Yosuke WASHIYA, 2019 ‘An invitation to Ethno-Kinesiology’, World Congress of Sociology of Sport, Dunedin, New Zealand.; Yosuke WASHIYA, 2019 ‘Experiencing the Moving Body Through “Thin-Description”-an Invitation to Ethno- Kinesiology’, 14th Annual LIMINA Conference, Perth, Australia)を行った。学会ではできるだけ幅広い領域の研究者とのディスカッションを目指した。社会科学だけでなく、人文科学の研究者からもポジティブなフィードバックを得られた。③さらに、これまでの成果の一部を論文にまとめ、「体感のアンビバレント」社会学論叢(日本大学社会学研究室 [編])に投稿しており、本年6月に刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたトロントでのデータ収集はおおむね良好に進んでおり、フィルムの編集と論文の執筆を進めている。さらに、日本国内外での参考データを収集することや、学会等でのディスカッションを通じ、本研究における論点の特性、射程と可能性をよりクリアに把握できたのが19年度の成果の一つである。他方、フィルムの編集技術等には課題が多く、19年度中には対処できていない。理論的な検討にも大きな余地が残されており、次年度の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
20年度は最終年度となるが、論文の投稿(合計3本)、学会発表(特に方法論、質的方法、ビジュアルメソッド論など)、映像作品の製作と公開が具体的な課題である。さらに、21年度以降の研究に橋渡す研究計画とビジョンを設定することも併せて進行していく。これらを達成するために、①データの検証、②先行研究のより精緻な検討を通じた論文の執筆、投稿、③および映像編集と公開の環境設定の大きく3点に注力する。同時に、翌年度以降のプランと資金獲得準備を行う。
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Causes of Carryover |
本研究においては移動交通費が大きなウエイトを占める。他方、物品の購入はできる限り抑え、手持ちの機器を使いまわすことで対応してきている。物品の購入を比較的少なく抑えていることが結果的に次年度使用額の発生に関係している。次年度は映像に関するソフトウェアが必要となるため、そちらに拠出する。
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