2019 Fiscal Year Research-status Report
筋硬度と運動パフォーマンスの関係 -新たな介入法による検討-
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18K17813
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
安藤 良介 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (10804792)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 剛性率 / 筋スティフネス / 内側腓腹筋 / ヒラメ筋 / ドロップジャンプ / 筋トルクの立ち上がり率 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度に取得したデータの解析を進めた。下腿三頭筋の剛性率とドロップジャンプのパフォーマンスの関係を検討したところ、内側腓腹筋とDJ indexに有意な相関関係が認められた。この結果から、安静時の筋のスティフネスは、動的な運動のパフォーマンスにも関係している可能性が考えられた。一方、この実験データでは、ヒラメ筋の剛性率は、DJ indexに対して有意な相関関係は見られなかった。この原因として、剛性率を測定する足関節角度に依存して、個人間のばらつきの大きさが筋によって異なることを考えている。2019年度では、その仮説に対する研究の予備実験を進めた。被験者4名を対象に、先行研究に倣って、受動的に足関節背屈しているときの下腿三頭筋の剛性率の変化を検討する実験を行なった。予備実験で生じた筋電図のノイズ除去、関節ゴニオメーターの適切な測定法に対処し、本実験を行う段階まで実験手順と環境を整備した。 内側腓腹筋とDJ indexの関係に関する論文の執筆を進めた。執筆は7割程度まで進み、2020年度早々に国際学術誌に投稿できる進捗状況である。2018年度に報告済みのジャンプトレーニング実験のデータについても2020年度の国際学会で発表する予定であったが、感染症の流行により学会の中止が決定したため、発表を取り下げた。 2018年度に実施したジャンプトレーニング前後のRate of EMG rise(RER)の分析を終えた。トレーニング期間前後で有意な変化は見られなかったが、RTDの変化をRERから説明できる可能性が得られた。筋のpassive stiffnessや腱スティフネスではRTDの変化を十分に説明できないことも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、1) 筋のpassive stiffnessと等尺性筋力発揮時におけるRTDの関係(横断研究)、2) 筋のpassive stiffnessとドロップジャンプの関係(横断研究)、3) ドロップジャンプトレーニングに伴う筋のpassive stiffnessとRTDの変化(縦断研究)、4) 日常的な骨格筋へのストレスがpassive stiffnessに与える影響(横断研究)に関する実験を行ってきた。1) については、すでに国際学術誌に掲載されており、2)については、論文の執筆が進んでおり、2020年度中に学術誌への掲載が決定されると見込んでいる。3)と4) についても2020年度中に論文として執筆し、学術誌に投稿する予定である。 最終年度に行う実験の準備は十分に行った。本実験は、各被験者2試行あるため、実験に要する期間は長いが、今年度中に終えられる予定である。感染症の流行に伴って、実験が進まないことが危惧されるが、横断研究であるため、柔軟に対応できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Ando and Suzuki 2019で見られた筋のpassive stiffnessと等尺性筋力発揮時におけるRTDの関係について踏み込んだ実験を行う。具体的には、下腿三頭筋のslack angle(Hirata et al. 2015)において、RTDタスクを行った際に、上記の関係が維持されるのか否かを検討する。表面筋電図の記録、末梢神経電気刺激による筋トルクの立ち上がり率の算出などから、神経系、筋の材料特性などの要因を詳細に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
論文投稿に伴う英文校正代と投稿料を見込んで費用を計上していたが、年度内に投稿できなかったため翌年度に繰越すことになった。最終年度では、それらの費用に加え、オープンアクセスでの掲載費用として使用する予定である。
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