2020 Fiscal Year Research-status Report
筋硬度と運動パフォーマンスの関係 -新たな介入法による検討-
Project/Area Number |
18K17813
|
Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
安藤 良介 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (10804792)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 剛性率 / 筋スティフネス / RTD / 等尺性足関節底屈運動 / 下腿三頭筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
Physiological Reportsに掲載された論文では、中間広筋が膝関節角度変化に伴ってサルコメア長の変化が起こるのに対して、外側広筋では起こらないことを示した (Ando et al. 2021)。Journal of Electromyography and Kinesiologyに掲載されることが決定した論文では、内側腓腹筋のスティフネス(剛性)がドロップジャンプのパフォーマンスに関係するのに対して、ヒラメ筋では統計学的な関係が見られないことを明らかにした (Ando et al. in press)。 12月から3月にかけて、足関節角度変化に伴う等尺性足関節底屈運動時のRate of torque development (RTD) と筋スティフネスの関係についての実験を行なった (若齢男女対象、n=27)。運動時には内側腓腹筋とヒラメ筋の表面筋電図を記録した。また、安静時の下腿部の連続横断MR画像も取得した。RTDと表面筋電図の振幅値の分析を2020年度内に終えた。その結果、足関節背屈位(筋長が長くなる)において、RTDと表面筋電図の振幅値との相関関係が強くなる (r > 0.7) のに対して、足関節底屈位ではそれらの相関関係は中程度であった (r < 0.7)。すなわち、関節角度変化(筋長変化)に伴って、RTDに与える要因(神経系、筋腱複合体の力学特性、筋線維組成など)及びその関係の強さが変化する可能性が考えられた。本実験において、メインの関係であるRTDと筋スティフネスについては、筋スティフネスの分析を年度内に終えることができなかったため、検討することができなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究テーマに関連する成果が2編国際学術誌に掲載されることが決定した (Ando et al. Physiological Reports 2021, Ando et al. Journal of Electromyography and Kinesiology, in press)。感染症対策での在宅勤務期間を有意義に使って論文を執筆することができた。また、他に1編の論文を国際学術誌に投稿中であり、論文の執筆については順調に進捗した。 一方で、感染症拡大に伴う実験の延期等により、実験の実施が年度末になった。データの解析、論文の執筆まで至らなかったため、当初の計画より若干の遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度末に実施した実験の解析を引き続き行う。筋スティフネスのデータ解析を終えたところで、統計解析を行い、データの整理と結果の解釈を進める(6月中を予定)。この時点で必要であれば、追加実験を行う。一連の実験で得られた成果を論文としてまとめ、9月中に国際学術誌に投稿する予定である。また、2021年内に開催される国内の関連学会において成果を発表する。 また、2020年度末に実施した実験では、下腿部の連続横断面のMR画像も取得している。この画像から、筋内脂肪量を同定し、筋スティフネスとの関係を検討する。これについては、筋スティフネスの解析と並行して進める。
|
Causes of Carryover |
2020年度は、感染症の拡大に伴う自粛生活により、実験を予定通りに実施することができなかった。それにより被験者謝金の支出が減った。また、年度内に実験を終えることができなかったため、データの解析、関連学会での発表や論文投稿などの成果発表に至らなかった。論文は、オープンジャーナルへの掲載も視野に入れているため、予算に余りがでた。 2021年度は、追加実験の必要が出た場合の被験者謝金と国内の学会への参加費・旅費、論文執筆時の英文校正費及び投稿料・掲載料として予算を執行する予定である。
|
Research Products
(7 results)