2020 Fiscal Year Research-status Report
ゴルフパッティングの距離感に関する研究-パフォーマンスを制約する要因の解明-
Project/Area Number |
18K17818
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
長谷川 弓子 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (20712871)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 傾斜の知覚 / 意思決定 / アライメントエラー / ケネマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ゴルフパッティングを題材とし,行為者の環境を読む力,力量発揮,フィードバック能力を検討することにより,力量発揮の能力の差異を生じさせる要因を明らかにすることである。 具体的には,ツアープロと中級者の異なる技能水準のゴルファーを対象とし,グリーン面の斜度やパッティング距離を独立変数とし,運動準備段階における狙い,ストローク中のキネマティクスとキネティクス,運動実行後の評価を従属変数とすることで,力量発揮の能力の差異を生じさせる要因を明らかにすることである。 2020 年度は2019 年度に実施した第2 実験(力量発揮とフィードバック能力の測定),第3 実験(環境を読む力と適応力の測定)の続きを予定していたが,新型コロナウィルスの影響から,残りの測定を実施しなかった。そこで,昨年度までに測定したデータをもとに,結果をまとめることとした。両実験のデータ分析を実施し,第3 実験の1 部の結果(環境を読む力について)を論文としてまとめた。 第3 実験の1 部から得られた成果として,ゴルフパッティングのような離散運動における未熟練者のパフォーマンスの正確性や精度が熟練者に比べて低い点について,本研究では環境を知覚する段階から,パフォーマンス結果が生じるまでを局面ごとに整理し,運動制御段階における問題なのか,セットアップなどの前運動段階で生じている問題なのか,運動実施前に決定される方略の問題なのか,それとも環境を知覚する段階で問題が生じているのかについて検討した。本研究の結果から,未熟練者は,運動の正確性や精度が低いだけでなく,わずかな斜度を認識できない知覚の解像度の低い者が多く,その誤認識から誤った方略が選択されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定が実施できなかったことから計画当初に予定していたデータ数を確保することは出来なかったものの,データ解析を行い論文化するためのデータ数は確保できており,実験結果の一部を論文化し,海外学術誌に投稿,現在審査中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021 年度は,データ解析を進め,残りの結果をまとめ論文として投稿するのみである。
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Causes of Carryover |
2020 年度は,第2,3 実験の残りの一部を実施する予定であったが,それらを実施できなかったことが次年度使用額が生じた理由である。2021 年度の論文投稿の際の英文校正や論文掲載料などに使用する予定である。
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