2018 Fiscal Year Research-status Report
学生競技者のアイデンティティに関する基礎的研究-大学スポーツ振興に向けて-
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18K17825
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
萩原 悟一 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 講師 (30734149)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スポーツマネジメント / 大学スポーツ / 学生競技者 / UNIVAS |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の計画は、先行研究の整理、インタビュー調査の実施、質問紙調査の実施、学生競技者アイデンティティ尺度の作成であった。インタビューについては16名(女性:6名,男性10名)の大学生競技者を対象に「学生競技者として自分自身をどのように捉えているのか」について半構造化インタビューを行った結果、すべての対象者が学生(アカデミック)としての自己よりも競技者としての自己が優位にあると回答した。この結果は、米国で行われた先行研究(Miller & Kerr, 2002; Sturm et al., 2011)と同様の知見を示していた。次に、先行研究の整理を行った結果を基に質問紙調査のための質問項目の選定を行った。本研究では将来的に米国のNational Collegiate Athletic Association(以下、NCAA)との国際比較研究を視野に検討を進める方向性であるので、NCAAの学生競技者で多くの調査実績のあるYukhymenko-Lescroart(2014)のAcademic and Athletic Identity Scale (AAIS)の日本語版尺度を作成した。AAISの日本版への翻訳は米国での研究経験のあるスポーツ心理学およびスポーツマネジメントに精通する研究者、英語を母国語とする日本語能力にたけている英語圏出身の研究者から協力を得て、訳し戻し法を用い翻訳を実施した。尺度の信頼性・妥当性を検証するため、九州地区および東海地区に所在するUNIVAS加盟大学の学生競技者500名を対象に質問紙調査を実施し、日本版AAIS尺度(AAIS-J)を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に実施予定のインタビュー調査および質問紙調査は予定通り進行しており、また、その成果については年度末の学会で発表済みのため概ね順調に進展していると判断できる。また、学会発表した内容については学術誌に投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作成した尺度(AAIS-J)を用い、スポーツ傾倒意図、学業成績、キャリア発達等の結果要因との関連を明らかにする。また、学生競技者アイデンティティ形成に影響を与える先行要因を検討する。今後の課題は、本研究の結果をより般化させるため対象とする学生競技者数を増やすことである。一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)が立ち上がり、約200の大学が加盟しているが、より多くの大学を対象に調査を実施することで、わが国の学生競技者の実態を明らかにすることができると思われる。そこで、今後はUNIVASとの連携も視野に入れ、研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
研究開始が早まったため、初年度に購入予定であったパーソナルコンピューターを購入せず、大学経費で購入したパーソナルコンピューターを使用し研究を進めた。本年度は当初、購入予定にしていたパーソナルコンピューターを購入し、次の研究を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)