2022 Fiscal Year Research-status Report
種々の曝露環境における脊髄損傷者の胃腸内温変動と損傷レベルとの関連性
Project/Area Number |
18K17826
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
林 聡太郎 福山市立大学, 都市経営学部, 准教授 (80760040)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 体温 / 脊髄損傷 / 暑熱環境 / 身体冷却 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①曝露環境の変化、運動および飲料水が、鼓膜温、直腸温および胃腸内温の3点の深部体温への影響を明らかにすること、②脊髄損傷者における麻痺部と健常部の深部体温の変化を、曝露環境の変化と運動時の応答から明らかにすること、③脊髄損傷者における暑熱環境による熱中症の予防と寒冷環境による低体温の予防の指針を提案することにある. これまで、健常者において異なる深部体温の計測方法の検証を実施し、それらの結果をもとに脊髄損傷者を対象として検証を行った.2022年度は、暑熱環境下において脊髄損傷者と健常者の身体冷却が深部体温の変動に及ぼす影響を明らかにすることを目的に実験を継続した. 冷却物を皮膚に直接当てる体外冷却は、水に手掌部や足部をつける浸水や、頭部または顔面への水噴霧、クーリングベスト(Cooling vest; CV)の装着等が挙げられる.脊髄損傷者が日常的に活用できる深部体温の上昇を抑制させる方略としては、皮膚表面からの体温低下を促すCVの着用が最も簡便であり、皮膚を直達日射から保護することで皮膚温の上昇も抑制できることから、CVと長袖などの組み合わせが効果的であることが明らかになった.C5 レベル損傷者と健常者を対象にアイススラリー摂取(3.0g/kg)、CV着用およびCVと長袖などの衣類の組み合わせからなる3条件で暑熱環境下での安静滞在を行ったところ、CVと長袖などの衣類を組み合わせた条件で鼓膜温および平均皮膚温の上昇を抑制した.暑熱曝露時の体温上昇抑制と早期回復が期待でき、脊髄損傷者における暑熱下での屋外の活動制限を大きく改善させる可能性を有することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴い、2020年度から2021年度において、ヒトを対象とした実験の遂行に大きな遅れが生じたため.
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄損傷者を対象とした実験の場合、高位損傷では麻痺部が大きく、皮膚が弱くなっている面積が大きいことから、保冷剤を健常者と同様の数を使用すると、背部の保冷剤の突起が部分的に皮膚を圧迫し患部を憎悪させる可能性があり、感覚麻痺もあることから凍傷のリスクも高い.したがって、麻痺部や障害の程度に応じて保冷剤の個数を増減させるなどの注意を要する.また、消化器系の障害を有することがあることから、胃腸温の測定は十分に研究対象者と確認をとることが必要である. 2023年度は、被験者数を増やし追加の実験を行うとともに、輻射熱の大きい夏季屋外環境における適切な体温の維持に必要な身体冷却法を、冷飲料およびアイスベスト等の衣類を用いて検証する.また、これまでの研究結果をまとめる作業を行うこととする.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症への罹患のリスクが大きいと判断した研究協力者においては、実験の継続が困難であり、研究の途中から不参加となった.したがって、研究協力者への謝金等の繰越が発生した.2023年度については、新型コロナウィルスの感染防止対策を十分に取りながら追加実験を行うことから、謝金等の支払いに充てることとする.
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