2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of teaching method of pitching foam using rotary chair
Project/Area Number |
18K17827
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
阿南 浩司 札幌国際大学, スポーツ人間学部, 准教授 (00553851)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 野球 / 投球動作 / 上肢 / 体幹 / 運動学習 / 指導法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、骨盤の固定および回旋を容易に行える回転椅子を用いて、体幹から上肢に至る筋群を対象に伸張-短縮サイクル(stretch -shortening- cycle : SSC)作用をもたらす有効な投球の指導法を考案することを目的とした。 一年目である2018年度は、投球時の体幹および上肢運動について、文献研究および予備実験から未熟練者および熟練者間の差異を明らかにし、投球動作の指導プログラムの作成を試みた。その結果、立位時の通常の投球では、以下の通り、指導プログラムを作成する上での重要な視点が得られた。①踏み込み脚接地時点での肩関節外転位90度以上を保持、肘関節屈曲位90度以下の保持、およびその後の胸部回旋主導の投球の実施、②肩関節の水平外転から水平内転への切り換え、③胸部回旋の最大加速度直後、肩関節水平外転とほぼ同じタイミングでの肩関節外旋(肩関節最大外旋位まで)、④肘関節最大屈曲から伸展への切り換え、⑤前腕回外から回内への切り換え、⑥手関節最大背屈から掌屈への切り換え。⑦骨盤後方回旋のタイミング(反動動作の開始)の学習、⑧骨盤および胸部の捻転肢位(より大きな反動動作)の形成、⑨骨盤および胸部の捻転肢位から胸部を急激に回旋させる胸部回旋主導の投球の実施、⑩骨盤回旋角速度の減速に伴う胸部回旋角度の増加。 これらの視点を投球の指導プログラムに反映させるために、引き続き、予備実験を重ねていく。二年目である2019年度は、1) 未熟練者および熟練者を対象とした上肢運動の技術指導法の介入前後の投球動作および球速を評価し、指導効果を検証する。 2) 未熟練者および熟練者を対象とした回転椅子を用いた投球における体幹運動の技術指導法の介入前後の投球動作および球速を評価し、指導効果を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は、投球の体幹および上肢運動について、先行知見に関する文献研究を行い、予備実験にて未熟練者および熟練者の投球動作の相違点を三次元動作解析および筋電図解析から検討し、投球動作の指導プログラムの確立を目指してきている。 今後、上肢運動および体幹運動の指導プログラムを確立できるよう、予備実験を重ねていく。予備実験では、未熟練者および熟練者を対象に、①立位時の投球および上肢運動での投球(段階1:手関節・前腕の投球、段階2:段階1に肘関節を加えた投球、段階3:段階2に肩関節を加えた投球)における各関節運動および筋電図活動を比較する。②立位時の通常の投球および回転椅子を用いた際の投球(段階1:胸部固定の体幹回旋、段階2:骨盤固定の体幹回旋、段階3:胸部固定を伴う体幹下部主導の回旋、段階4:体幹回旋投球)における各関節運動および筋電図活動を比較する。これらの結果をふまえ、指導プログラムを確立する。その上で投球の技術指導前後での効果を三次元動作解析および筋電図解析を用いて検証する。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の実績をふまえ、2019年度では、未熟練者、経験者および熟練者を対象に、投球の体幹および上肢運動について、以下の内容を検討する。 1.体幹では、①骨盤後方回旋のタイミング(反動動作の開始)の学習、②骨盤および胸部の捻転肢位(より大きな反動動作)の形成、③骨盤および胸部の捻転肢位から胸部を急激に回旋させる胸部回旋主導の投球の実施、④骨盤回旋角速度の減速に伴う胸部回旋角度の増加、が学習のポイントとなる。これらに対応する検討項目は、①骨盤回旋の非投球方向(マイナス方向)における回旋開始時点、②骨盤回旋に対する胸部回旋の角度差の最大値、③投球方向(プラス方向)における胸部回旋角度が骨盤回旋角度を上回る時点の角加速度、④骨盤回旋の停止タイミングとその時点の胸部回旋角度、である。 2.肩関節では、①肩関節外転位90度以上を保持、②肩関節の水平外転から水平内転への切り換え、③胸部回旋の最大加速度直後、肩関節水平外転とほぼ同じタイミングでの肩関節最大外旋位、が学習のポイントとなる。これらに対応する分析項目は、①肩関節外転位90度以上を示した時間、②肩関節最大水平外転角および最大水平内転角速度、およびそれらの出現時間、③肩関節最大外旋角度および最大内旋角速度、およびそれらの出現時間、である。 3. 肘関節・前腕・手関節では、①肘関節屈曲位90度以下を保持し、胸部回旋主導の投球の実施、 ②肘関節最大屈曲から伸展への切り換え、③前腕回外から回内への切り換え、④手関節最大背屈から掌屈への切り換え、が学習のポイントとなる。これらに対応する分析項目:①肘関節屈曲位90度以下の保持時間、②肘関節最大屈曲角および最大伸展角加速度、およびそれらの出現時間、③前腕最大回外角度および最大回内角加速度、およびそれらの出現時点、④手関節最大背屈角度および最大掌屈角加速度、およびそれらの出現時点、である。
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