2018 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ規範意識がドーピング意識に与える影響に関する社会学的研究
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18K17833
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
依田 充代 日本体育大学, スポーツマネジメント学部, 教授 (50310371)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アンチ・ドーピング / ドーピング意識 / ドーピング規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
WADA(2017)の「2016 Anti-Doping Rule Violations (ADRVs) Report」ではイタリアがドーピング件数世界1位となった。依田ら(2017)は日本人とイタリア人の比較を行い、イタリア人のドーピング意識をモデリングの検証により明らかにしたが、なぜイタリアはドーピングが多いのかについて明らかになっていない。 以上のことから、平成30年9月3日から9日でイタリアにて学術調査を行った。調査にあたった施設は4件であり、ドーピング意識とスポーツ規範が形成される社会的な要因をコーチの立場から伺うため、Direzione Scuola dello Sportに対し聞き取り調査を行った。対応にあたってくれたのは、Angelo Altieri氏で十分な聞き取りを行うことができた。聞き取り内容は①イタリアのコーチシステムについて、②イタリアのドーピング数が多い理由について、③イタリアのアンチ・ドーピング教育についての3点であった。 スポーツ協会の立場からは、Federations Civlistica ItalianaのPaola Pavoni氏、Federations Atletica LeggeraのDino Ponchio氏とRiccardo Ingallina氏に対し聞き取り調査を行った。当初、Federazione MotociclisticaのGirgia Santini氏にも聞き取り調査を行う予定であったが、当日急な用件で外出してしまい、秘書から別の日程を提示されたが、出張期間外だったため、回答文章のみを受け取った。聞き取り内容は、①フェデレーションの歴史、②活動内容、③選手登録数や成績、④ドーピング違反者への対応、⑤なぜ選手はドーピングを行うのかの5点であった。 上記のインタビュー内容をまとめ、研究雑誌に投稿し、発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イタリアの学術調査では、「2016 Anti-Doping Rule Violations (ADRVs) Report」からドーピングが最も多いCycling(38件)、3位のAutomobile Sports(9件)、4位のAthletics(8件)のフェデレーションに対し、調査を行うことができた。 また、CONIが開講しているScuola Dello SportのディレクターであるAngelo Altieri氏にコーチの立場から聞き取り調査を行なうことができ、イタリアのドーピング事情について多くの知見を得ることができた。 現在、これらのインタビュー内容をまとめ、研究雑誌への投稿準備を行っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、令和元年にアメリカのスポーツ専攻学生に対して依田ら(2017)で信頼性・妥当性が確認された尺度を用いて、ドーピング意識とスポーツ規範の調査を行う予定である。また、イタリアで行った調査と同様の項目でアメリカと韓国のスポーツ組織に対しても聞き取り調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
旅費に関しては、当初の計画より、イタリア調査にかかる費用が抑えられた。人件費および謝金に関しては、現地アポイントメントと通訳料が当初の計画より抑えられたが、聞き取り調査で得られたテープ起こしにかかる業務委託費と現地の通信費(3名分)などが生じたため、その他として計上した。 差額分に関しては、次年度アメリカと韓国の調査を行う費用とする。
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