2019 Fiscal Year Annual Research Report
Determination of pharmacokinetic properties of prohibited substances to optimize a process of doping test
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18K17840
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
小田 啓祐 広島国際大学, 薬学部, 講師 (60712594)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ドーピング / 1,3-dimethylamylamine / 尿中排泄 / 経皮吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界アンチ・ドーピング機構により禁止物質として指定されている1,3-dimethylamylamine (DMAA)を用い、その動態学的特性について検討した。その結果、DMAAを静注した場合、血漿中濃度推移は二相性を示し、消失相における半減期は107 minと算出された。一方、投与6時間後における尿中濃度は25 µg/mLと高濃度であり、尿中排泄率は6時間で約35%であった。In vitro肝ミクロソームにおける代謝実験の結果から代謝はほとんど受けないことが確認されたため、残りのDMAAは組織に分布したか、もしくは他の経路から排泄されていると考えられた。経口投与時のAUC0-360 minから算出したバイオアベイラビリティは44%であった。また、尿のpHを塩化アンモニウムまたは炭酸水素ナトリウムを投与して変化させたところ、DMAAの尿中排泄は酸性尿において増加し、塩基性尿において減少した。従ってDMAAは腎尿細管において再吸収され、血中濃度が維持されていると考えられた。さらに、DMAAの尿細管分泌メカニズムについて検討したところ、有機カチオン輸送系の阻害剤であるシメチジン、キニジン投与によりDMAAの尿中排泄は低下し、血中濃度は有意に上昇した。これらの結果から、DMAAの体内からの消失には代謝は関与せず、尿細管分泌および再吸収が関与することが示唆された。 DMAAを皮膚に塗布したところ、投与7日後においても尿中にDMAAが検出され、皮膚塗布量の5%が尿中に検出された。即ち、DMAAは経口投与せずとも皮膚に付着した際には容易に体内に侵入し、尿中に検出されることが示された。 以上の結果より、DMAAの動態特性とその変動要因が明らかとなり、ドーピング検査の最適化および競技者の意図しない禁止物質の摂取回避に寄与できると考える。
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