2020 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of differences in intestinal microbiota in athletes on iron metabolism
Project/Area Number |
18K17850
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石橋 彩 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (40756524)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鉄欠乏性貧血 / アスリート / 腸内環境 / ヘプシジン |
Outline of Annual Research Achievements |
日常的にトレーニングを行う競技者においては、鉄欠乏性貧血の発症リスクは増加する。ヒトの腸には、約100兆個の菌が宿主と相互に共生しており、栄養、代謝機能および免疫系に影響を及ぼす。食事での鉄は、腸管から吸収されることを踏まえると、腸内細菌叢の違いが鉄代謝に影響する可能性が考えられる。脂肪を構成する脂肪酸のなかで食事から摂る必要のある脂肪酸は多価不飽和脂肪酸と呼ばれ、n-3系脂肪酸と n-6系脂肪酸に分類される。n-3系脂肪酸の摂取の増加は腸内環境を改善する可能性が高く、実際にn-3系脂肪酸の摂取は 腸内環境の改善が確認されている。 今年度の研究課題では抗炎症と腸内環境の改善作用が期待できるn-3系脂肪酸を多く含む魚油の習慣的な摂取が、腸内細菌および体内の栄養状態、鉄状態に及ぼす影響を検討することを目的とした。6名の男性エリート持久性競技者を対象に青魚を8週間摂取させ、介入前後の腸内細菌および血液検査を実施した。対象者には、青魚を含む食品[エイコサペンタエン酸(EPA)800mg、ドコサヘキサエン酸1300mg]を週4ー5回摂取させ、8週間継続した。介入前後の食事調査の結果、介入した青魚を含む食品をのぞいて、介入の前後でエネルギー摂取量と魚の摂取量に有意な変化はみられなかった。血清EPAの安静時濃度およびEPA/AA比は、介入後に有意に上昇した。腸内細菌叢は、介入後、肥満と炎症に関連する指標(F/B比)が減少し、ビフィズス菌が有意に増加した。一方、鉄代謝関連の項目(ヘモグロビン、フェリチン)に関しては介入前後における有意な変化は認められなかった。
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