2018 Fiscal Year Research-status Report
免疫系に着目した運動トレーニングによる熱産生機能向上のメカニズムの解明
Project/Area Number |
18K17860
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
川西 範明 千葉工業大学, 先進工学部, 准教授 (00706533)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 熱産生機能 / ベージュ細胞 / 運動 / 免疫細胞 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
寒冷刺激に伴う脂肪組織の熱産生機能の変動はベージュ脂肪前駆細の増殖や分化により制御されているが、これらの現象は脂肪組織に局在する免疫細胞により調節されていることが近年解明されている。運動トレーニングはベージュ脂肪細胞の増殖や分化誘導を調節する作用を有することが想定されるが、運動トレーニングによる脂肪組織の熱産生機能向上の分子メカニズムについての全容は未だ不明である。そこで、本研究では、運動トレーニングによる脂肪組織の熱産生機能の向上に免疫細胞が関与するのか否かを検討することを目的とした。実験には12週齢のC57/BL6J雄マウスを用いて、通常食餌+安静群、高脂肪食餌+安静群、高脂肪食餌+運動トレーニング群の3群に群分けした。高脂肪食餌負荷は8週間実施した。また、運動トレーニングはトレッドミル装置を用いて、運動強度20m/minの速度、運動時間60分間/回、週5回の頻度で8週間実施した。熱産生に関与する脱共役タンパク質(Uncoupling Protein 1:UCP1)とベージュ脂肪細胞の前駆細胞で特異的に発現するマーカーであるTMEM26およびCD137のmRNA発現は8週間の高脂肪食餌負荷によって有意に減少した。しかしながら、高脂肪食負荷マウスでは安静群と比較して運動トレーニング群ではこれらのmRNA発現は有意に高値であった。一方で、炎症性マクロファージのマーカーであるCD11cと炎症性サイトカインIL-6のmRNA発現は8週間の高脂肪食餌負荷によって有意に増加したが、高脂肪食負荷マウスでは安静群と比較して運動トレーニング群では炎症細胞マーカーのmRNA発現が有意に低値であった。運動トレーニングは肥満マウスの脂肪組織でのUCP1発現を増強させるが、その調節に関わるメカニズムとして、炎症性マクロファージの浸潤抑制を介した慢性炎症の減弱が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動による脂肪組織の熱産生機能の変化とその分子メカニズムについて検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
運動トレーニングによる脂肪組織の熱産生機能の変化について、免疫細胞の浸潤が関与する可能性が示唆された。今後は、免疫細胞の浸潤阻害モデルを用いて、ベージュ脂肪細胞の増殖・分化を介した熱産生機能の変化に免疫細胞が関与するメカニズムについて、より詳細な検証を進める。
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