2018 Fiscal Year Research-status Report
レイティングを用いた対人競技における競技力評価法の開発
Project/Area Number |
18K17862
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Research Institution | Ryotokuji University |
Principal Investigator |
石井 孝法 了徳寺大学, 健康科学部, 准教授 (60735041)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レーティング / 対人競技 / 競技力評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、チェスや囲碁で用いられるレイティング手法を採用し、対人競技における競技力を包括的に評価する方法の開発を目指している。本年度は、「対人競技における競技力を包括的に評価する方法の開発と検証」として、国際柔道連盟が公開している大会情報(オリンピック、世界選手権大会、グランドスラム大会などの主要大会15万試合分の選手名や対戦結果)を収集し、数値解析ソフトウェアMatlabを用いて選手のレーティングが実施できるようにプログラムを開発した(現在はEloレーティング採用)。採用したレーティングの手法が妥当であるかを検証するためには、多くの対戦結果が必要であると考え、2010年からの対戦結果を公開している国際柔道連盟のウェブサイトの情報(OSINT)を収集し、選手のタイトル数などとレーティング結果の関係を分析した。レーティング結果を用いた選手ランキングと国際柔道連盟のランキング(大会結果からポイントが付与されるシステム.以下IJFランキング)は異なる結果になった。IJFランキングは、大会出場数の影響を受けることから、競技力を正確に反映しているとはいえない。特に、経済的な支援のない国は出場大会数が限られており、実力があってもランキング上位になることは極めて少ないためである。レーティング手法を用いることで、オリンピックや世界選手権大会で複数メダルを獲得できる選手は、高いレイトになっていることから、対人競技の包括的な競技力(パフォーマンス)を評価できる可能性があることが示唆された。ナショナルチームのコーチの眼とレーティングを用いた選手の競技力評価の関係性を明らかにし、次年度の「評価に関する情報量の違いがコーチの課題設定とトレーニング計画立案に与える影響」を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は「「対人競技における競技力を包括的に評価する方法の開発と検証」を完了することを目標としてきた。数値解析ソフトウェアMatlabを用いて15万試合分のデータから選手のレーティングが実施できるようにプログラムを構築したが、バグの修正などにかなりの時間を要した(実際のデータと計算結果に問題がないかのチェック)。検証の一つであるナショナルチームのコーチの眼とレーティングを用いた選手の競技力評価の関係性については調査中であるため、概ね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、「評価に関する情報量の違いがコーチの課題設定とトレーニング計画立案に与える影響」について明らかにすることを目的とする。開発した競技力評価法をコーチング実践に導入し、アスリートの「組手の厳しさ」に限定して評価を行う。開発した評価法では、情報の確度を高めるため、実際に対戦(乱取を含む)をしたことのあるアスリートが情報を与える。例えば、A 選手とB 選手の両方と対戦したことのあるC 選手に、A 選手とB 選手の「どちらの組手が厳しいか」、「どちらの組手がきれない(道衣を離さない)か」などの質問を行い、必ず2 名のアスリートを比較する形式で情報を収集する。これらの情報を用いて、「組手の厳しさ」のレイティング(同所属のアスリート内で)を行う。また、「組手の厳しさ」に関連する体力要素(握力、上肢筋力、把握筋持久力)の客観的評価を行い、評価に関連する情報量(レイティングのみ、体力評価のみ、レイティング+体力評価など)の違いがコーチの課題設定、トレーニング計画の立案にどのような影響を与えるかを明らかにしていく。多くの被験者をリクルートすることが、本研究を遂行する上の課題としてあったが、体力測定およびレーティングに関して協力していただける大学が3校(50-70名)決まっているため、順調に研究を進めることができる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,参加する予定であった学会に参加できなくなったためである.次年度は,学会への参加に関わる旅費,2019年度に予定している実験の被験者およびレーティングプログラムの改修などの人件費・謝金を中心に使用する.また,レーティング用アプリケーションのユーザーインターフェースの改修などにも使用する.
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