2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K17866
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
加藤 孝基 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 講師(任期付) (10750771)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 筋弛緩 / 個人差 / 筋活動 / 反応時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、筋の弛緩に関わる個人差について、様々な筋を対象として網羅的に明らかにした。これまでの先行研究では、筋活動やフォースセンサーを用いて、反応時間や筋活動を算出してきた。しかしながら、対象とする筋や反応時間の算出方法、強度などが研究間で異なるため、統一した見解は得られていない。そこで本研究では、各筋の収縮および弛緩の筋活動を、様々な基準を設けて定量化し、個人差や部位差を明らかにすることを目的とした。 被験者は健常な成人男性10名とした。指関節,手関節および肘関節を対象とし,全5動作(指屈曲・手屈曲・手伸展・肘屈曲・肘伸展)を行った。課題内容は,音合図に素早く反応して収縮課題もしくは弛緩課題を行った。それぞれの課題は50%MVCの標的強度で行い、試技中の主働筋の筋活動から収縮・弛緩課題の反応開始時間・反応完了時間・反応開始から反応完了にかかる時間(所要時間)を様々な基準を設けて解析した。 その結果、反応完了時間において、収縮課題と弛緩課題の間に有意な正の相関が認められた。しかしながら指屈曲動作のみ有意な相関が認められなかった。 これらの結果より、素早い収縮を行う人は素早い弛緩を行うことが考えられる。これは、筋肉の収縮と弛緩の制御には共通のメカニズムが存在すことが考えられる。また、指屈曲動作においては、日常的に頻繁に使用し、精緻な神経メカニズムが備わっていることから、個人差が認められなかったと考えられる。 収縮及び弛緩の筋活動動態は様々な筋によって異なり、さらに個人差が認められることが本研究より明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋弛緩に関わる個人差について、様々な筋を対象として網羅的に明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、筋弛緩に関わる個人差について、筋活動の点から明らかにした。では、弛緩する筋を支配する皮質脊髄路や皮質内抑制は、筋活動と同様に個人差が生じるだろうか。一次運動野(M1)にTMSを単発刺激および二連発刺激することで、皮質脊髄路の興奮性およびM1の抑制機構を評価することができる。2019年度は、TMSを用いて、個人差に関わる神経メカニズムを明らかにする。被験者は、これまでの研究と同様に音刺激に素早く反応して弛緩を行い、その際、筋の弛緩を行う部位を支配するM1領域にTMSを単発および二連発刺激する。弛緩を行う筋より得られた運動誘発電位(MEP)の振幅値をもとに、皮質脊髄路興奮性および皮質内抑制を評価し、筋活動と対応させる。筋弛緩がスムーズに出来る人は、出来ない人よりも皮質内抑制機構が働くと予想される。
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