2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K17866
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
加藤 孝基 南山大学, 経済学部, 准教授 (10750771)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TMS / 筋弛緩 / 運動抑制 / 前筋運動時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,covid-19による感染リスクに配慮しつつ,比較的簡便に行える研究として,反応時間に関わる実験を進めた. 外的刺激に対する中枢神経処理能力は,反応時間の構成要素でもある前筋運動時間を用いて評価することができる.筋弛緩時の神経機構を明らかにする手掛かりの一つとして.この前筋運動時間を用いることができるだろう.本研究では,筋弛緩にさきがけて,収縮時の前筋運動時間を明らかにすることとした.これまでの研究で,アスリートは前筋運動時間が短縮することが報告されているが,その要因は明らかにされていない.本研究では,スポーツの中でも特に素早い反応が求められる陸上競技短距離走者の前筋運動時間を計測し,一般人との違いを明らかにした.その結果,短距離走者は,一般人よりも音刺激に対するPMTが短縮することが明らかとなった.さらに,経頭蓋磁気刺激法(Transcranical magnetic stimulaton: TMS)を用いて,より詳細に情報処理の神経メカニズムを解明した.その結果,TMS刺激による運動誘発電位(Motor evoked potential: MEP)の出現潜時は両群で差が認められなかったことから,一次運動野以降の伝達能力ではなく,それ以前の情報処理・選択・企画といった運動準備段階の能力が前筋運動時間短縮に影響を及ぼすことが示唆された. 当初2021年度に行う予定であった実験は,経頭蓋直流電気刺激を用いるものである.この刺激法は,運動学習の研究やリハビリテーションで近年注目されている手法であり,頭蓋上に貼付した電極から微弱な直流電流を与えることで,簡便かつ非侵襲的に大脳皮質興奮性を促進・抑制することができる.この手法を用いて運動準備に関わる脳活動を修飾し,その際の前筋運動時間について,より詳細に検討する必要があるだろう.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
covid-19による感染リスクを考慮したため、ヒトを対象とした実験を十分に行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
covid-19による感染リスクのためにヒトを対象とした十分な実験を行うことができなかった。しかしながら、比較的簡便に行うことの出来る反応時間に関する実験を、代替的に行うことができ、新たな知見を得ることが出来た。さらに、前年度に取得した実験データをより精査することができた。 2021年度に得られた知見を活かし、2022年度は、当初用いる予定であった経頭蓋直流電気法を取り入れ、実験を進める予定である。さらに、過去に収集したデータの解析等を進める予定である。
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Causes of Carryover |
convid-19の感染症リスクを考慮し、当初の予定通り実験が進まなかったため。 2022年度は、2021年度に行う予定であった実験および学会発表に使用する予定である。
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