2022 Fiscal Year Annual Research Report
individual differences and neural mechanisms for muscle relaxation
Project/Area Number |
18K17866
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
加藤 孝基 南山大学, 経済学部, 准教授 (10750771)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TMS / 筋弛緩 / 運動抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、主にこれまでに行ったリラックスとスポーツ動作に関わる研究をまとめた。特に、弓道を行う際の筋活動について、データを精査した。弓道は“滴がしたたる”ように弓が放たれるといわれている。射る直前に指関節筋の活動を低下させ、弓の張力がそれを支える筋発揮を上回ったときに矢が離れると考えられる。つまり、弓が離れる際には指間接筋のリラックスが行われているはずであるが、これらを実験により明らかにした研究はない。我々は、熟練者14名(全国大会2位、等)の弓の“離れ”の際、指関節屈筋および伸筋がどのように活動するか明らかにし、さらに主観的なパフォーマンスの良し悪しとの比較検討を行った。経験年数に応じて、参加者全員を長期経験者グループ(長期群)と短期経験者グループ(短期群)の2つに分けたところ、長期群の弓の離れの際には、手関節屈筋群の活動が低下し、その他の指関節伸筋、前腕および上腕の筋群は際立った活動は認められないことが明らかになった。一方で、短期群においては、手関節伸筋群の活動が顕著に認められた。したがって、経験が浅い弓道者は、手を"能動的に開く"ことによって弓を射ており、経験が長い弓道者は、筋活動の低下に伴い"受動的に開く"ことにより弓を射ることが明らかになった。これらの研究結果をまとめ、2023年度に国際学会および国際誌に発表する予定である。
研究期間全体を通すと、covid-19の影響や、研究代表者の所属が変更したことなどが重なり、当初の予定通りには研究は進まなかった。しかしながら、これまでの実験データを精査する時間を設けることができたことにより、研究期間内に国際論文等の学術誌に13編発表する等の成果があげられたと考えている。
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