2020 Fiscal Year Research-status Report
developmental changes in children with Developmental Coordination Disorders through an analysis of microgenetic scale
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18K17870
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
村上 祐介 金沢医科大学, 一般教育機構, 講師 (70744522)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発達性協調運動障害 / 運動発達 / 微視的スケール / 課題への適応 / アダプテッド |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、昨年度の調査で得られた知見をもとに、これまで実践的に行ってきた運動発達支援事例についてより深化した分析を試み、それらについて成果発表を行った。具体的には、本研究の目的で示した微視的スケールの分析による「変化の過程」を明らかにするために、2つの事例を対象に分析を行った。2つの事例の対象児は、発達性協調運動障害(DCD)特性と自閉症スペクトラム障害(ASD)特性を併せ持つ子どもであり、縦断的な運動発達支援活動を通して、多様な変化を示した子どもであった。 昨年度に行った調査では、運動遂行時の注意の向け方や知覚の特性が運動課題の遂行に影響を及ぼすことが示唆されている。そこで、2つの事例を微視的スケールで分析する際に、課題遂行時の注意の向け方や知覚の観点を組み込みながら分析した。その結果、なわとび課題やボール投げ課題に取り組み際に、与えられた課題の違いやその時の環境の変化が対象児の注意の向け方や環境の知覚に様々に作用し、結果として各対象児の動作は常に変動を繰り返していることが明らかとなった。従来行ってきた縦断的な分析に対して、注意の向け方や知覚の観点を組み込むことで、対象児の細かな動作の変動が生じる要因を検討することにつながり、運動発達支援の意義や今後の展開に新しい示唆を得ることができた。特に、DCD特性のある子どもは、その時々の文脈や環境からの制約を強く受ける特徴があり、そのことが縦断的な発達的変化を捉える上で重要な視点であることが示された。今後の運動発達支援活動や実践研究に役立つ知見を得ることができた。 これらの成果発表は、「2020横浜スポーツ学術会議(2020年9月8日~22日、オンライン開催)において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、当初の予定通り、研究成果の発表準備に取り組み、成果の一部を学会発表することができた。当初の目的では、成果発表として本年度中に投稿論文を完結させる予定だったが、発表を通して参加者から分析方法や考察について様々な意見をもらうことができた。それを受け、より質の高い研究として国際誌に論文を投稿するための準備に時間がかかり、投稿論文の進捗が予定よりやや遅れている状況である。また、関連する学会での発表を予定していたが、今年度は中止になったものもあり、来年度以降に学会発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の学会発表において、分析方法や考察について参加者から様々な意見をもらうことができた。それを受け、より質の高い研究として国際誌に論文を投稿し、掲載されるように努めていく。なお、論文の投稿手続きは終えており、審査を受けている論文がある状況である。また、国内外の関連する学会において成果発表を行うとともに、今後の研究の発展に向けた取り組みを行っていく。
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Causes of Carryover |
今年度の予算使用の予定は、本研究の中核である運動発達支援活動に必要な物品費、成果発表のための分析に用いる物品費、研究成果を学会で発表するための学会参加費および旅費、そして研究成果を国際誌に投稿するための英文校正に関わる費用であった。その中で、運動発達支援活動に必要な物品費が予想よりも節約できたこと、成果発表に関わる学会参加費や旅費が社会的な状況の中で使用できなかったことなどが影響し、次年度使用額が生じることとなった。次年度は、より質の高い研究成果の発表に向けて、主に英文校正や国内外の資料収集など、論文作成のための予算として使用する予定である。また、社会的な状況をみて、国内外の学会に参加できる場合は、参加費および旅費として残りの予算をあてる。
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Research Products
(2 results)