運動時の心理的ストレスを反映するマーカーとしての分泌型microRNAの可能性

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K17873
• Research Institution: Kyoto Sangyo University
• Principal Investigator: 石飛 博之 京都産業大学, 現代社会学部, 助教 (30772074)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 心理的ストレス / エクソソーム / miRNA / アスリート / コンデイション

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、若手研究microRNA （miRNA）を含むエクソソームの機能を明らかにすることにより、心理状態を特異的に反映する新たなマーカーの確立を目的としている。 コルチゾールといった従来の既存マーカーによるデータと、miRNAを含むエクソソームといった分泌性因子と、被験者への心理的アンケートとの相関関係を調査することによって比較検討し、従来よりも信憑性の高い心理的ストレスマーカーの獲得を目指している。
予備実験としてアスリートを被験対象とし、調査期間を大会数ヶ月前の練習期・大会の直前・直後の試合期・シーズン終了後のオフ期の4つに区分けし、それぞれの期間で唾液・血液の採取、アンケートによる調査を実施した。従来からのマーカーであるコルチゾールの発現定量とアンケート調査を解析したところ、本実験においてコルチゾールは、心理的ストレスマーカーとしての妥当性が低いことが示唆された。また、予備実験の成果として、本実験のサンプル摂取時期を決定できたことから、2020年度もサンプリング予定であった。しかし、新型コロナウィルスの影響から予定していたサンプリングを実施することができなかった。2021年度もサンプリングを実施できない場合、まずは既存のサンプルを用いた解析を進める。また、その後、新規の心理的ストレスマーカーと予想された候補miRNAを用いた動物実験などの追加も検討する。以上のことを進めることで、新規の心理的ストレスマーカーの確立とそれを指標としたアスリートのコンディショニングの開発に繋げることを期待している。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新型コロナウイルスの影響で2020年度に予定していたサンプリングを実施できなかったため。

Strategy for Future Research Activity

2021年度についても新型コロナウィルスの状況により、サンプリング実施に影響が出ることが予想される。
その場合、2019年度に行ったサンプルについて、再度アンケート調査などを精査しマイクロアレイ解析を行う。その後、新規の心理的ストレスマーカーとなりうるmiRNAの絞り込みを行う。方法としては、既存のサンプルを用いたリアルタイムPCR解析を行う。その後、実験協力者と相談し、実際に心理的なストレスを抱えた患者由来の血清サンプルなどに含まれるmiRNAの解析や動物実験を追加することで、新規の心理的ストレスマーカーの確立を目指す。

Causes of Carryover

ヒトを対象としたサンプリングを大々的に実施する予定がある。それゆえ、その人件費などの確保のため令和2年度の支出を抑えた。