2018 Fiscal Year Research-status Report
活動筋における脱酸素化応答の応答曲線の特性は酸素供給不足を反映するのか?
Project/Area Number |
18K17875
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
奥島 大 神戸芸術工科大学, その他部局等, 研究員 (70735307)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 酸素動態 / 近赤外分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、酸素不足に関する基礎的な資料を得ることを目的として、運動中の血流競合の主たる原因であると考えられる呼吸運動に関わる筋と活動筋の酸素動態の関連性について検討した。対象者は健常な成人男性10名、漸増負荷自転車運動を疲労困憊に至るまで実施した。この際、呼吸代謝装置を用いて肺酸素摂取量を、近赤外時間分解分光装置を用いて、活動筋(外側広筋)、および呼吸に関わる筋(肋間筋および横隔膜、右第9肋間の中腋下線上)の酸素化・脱酸素化応答を連続的に測定した。呼吸に関わる筋の脱酸素化応答は運動後半に急激に増加し、外側広筋の総酸素化応答は運動強度の増大にともない増加から停滞、あるいは減少に転じた。しかし、呼吸に関わる筋の総酸素化応答は運動強度の増大に対して、停滞、あるいは減少する傾向が認められた。加えて、呼吸に関わる筋の脱酸素化応答が急激に増加を開始する相対運動強度は、外側広筋の総酸素化応答が停滞・減少を開始する相対運動強度と比較して高い値を示すと共に、この両指標に有意な相関関係は認められなかった。本研究の結果は、呼吸に関わる筋の賦活にともなう血液量変化が外側広筋の血液量変化と関連していない可能性を示唆していると考えられた。 また、酸素動態の応答曲線の特性について、単位活動筋当たりの血流量が異なる運動様式でも運動トレーニング前後にその応答曲線の形状を変化させないか検討することを目的とした実験を実施した。具体的には、運動トレーニング前後の膝伸展運動時における脱酸素化応答を検討した。得られたデータは現在解析中であるが、一部の対象者では、膝伸展運動においても、自転車運動と同様に活動筋の脱酸素化応答曲線の形状はトレーニング前後で変化しないと考えられるデータを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度では、標準的な運動時に活動筋と関係ない部位(内臓や非活動筋)が活動筋の酸素供給不足に大きな影響を与えていないか確認する必要があると考え、概要に示した内容について検討した。また、研究計画段階では、単位活動筋当たりの血流量が変化する別運動様式の脱酸素化応答の特性について検討が不足していたため、この点についても検討した。そのため、予定していた下肢運動に上肢運動を組み合わせて、下肢の活動筋の血流を制限する実験に取り組むには至らなかった。したがって、研究計画の実施状況を「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、予定していた下肢運動に上肢運動を組み合わせ、下肢の血流制限を促す実験に取り組むと共に、異なる方法で下肢の血流を変化させる実験内容についても検討・実施することを目指す。これらの実験結果から、酸素供給の不足が、酸素動態のどのような振る舞いとして表現されるのか検討を進める。
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Causes of Carryover |
当初予定していた心拍出量計測システム購入の目処が現予算では難しくなったために、代替システムについて検討する必要が生じた。このシステムの検討に時間を要したことから、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、心拍出量計測のための代替システムの構築および、本年度に実施できなかったの実験の対象者謝礼などに使用する予定である。
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