2020 Fiscal Year Research-status Report
活動筋における脱酸素化応答の応答曲線の特性は酸素供給不足を反映するのか?
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18K17875
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
奥島 大 大阪国際大学, 人間科学部, 講師 (70735307)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脱酸素化応答 / 姿勢変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延にともない研究計画を円滑に進めることが困難となった。そのため、以前に実施していた姿勢変化による活動筋酸素動態の特性に関わる研究などの内容について検討を重ねた。この実験では、成人男性を対象に直立姿勢、および仰臥位姿勢で漸増負荷運動試験を実施し、その際の肺酸素摂取量、および複数部位の活動筋酸素動態(脱酸素化[Hb+Mb]{酸素供給に対する酸素消費の割合の指標}、および総酸素化[Hb+Mb]{組織の血液量の指標})の応答を観察した。その結果、直立姿勢と比較して仰臥位姿勢では、最大酸素摂取量が有意に低下し、活動筋では、脱酸素化[Hb+Mb]、および総酸素化[Hb+Mb]の運動時最大変化量が仰臥位姿勢時に増加した。これらの結果から、主に活動筋の血流量に依存する酸素供給の低下が最大酸素摂取量の低下を引き起こしている可能性が示唆された。また、総酸素化[Hb+Mb]の結果は、活動筋の血流量に依存する酸素供給の低下が血液から筋への酸素抜き取りによる酸素供給で一部代償されている可能性を示唆すると考えられるが、肺酸素摂取量の低下を考慮すると血流量の低下による酸素供給不足を完全に補えるものではなかった可能性がある。以上の結果より、上肢の運動を利用して下肢の血流制限を引き起こした場合でも同様の理由により、総酸素化[Hb+Mb]の応答に酸素不足に関わる特徴が得られる可能性があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウイルス感染症の蔓延にともない、予定していた実験を完遂できなかった。したがって、研究計画の実施状況を「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、予定していた最後の実験を完遂し、それぞれの実験結果から活動筋の酸素不足がどのような現象で表されるのかについて検討を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延にともない実験を円滑に実施できなかったため、実験に必要な各種機材、消耗品の購入費用、および実験謝礼費用を繰り越す必要が生じた。次年度は、実験に必要な機材、消耗品、および実験者例を中心に使用していく予定である。
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