2022 Fiscal Year Annual Research Report
Neuroscientific study on dual-task interference during voluntary movement
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18K17895
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
福本 寛之 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00779308)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 皮質脊髄路興奮性 / 経頭蓋磁気刺激法(TMS / 二重課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,運動課題と視覚刺激による認知課題,ならびに運動課題と聴覚刺激による認知課題からなる二重課題の遂行が皮質脊髄路の興奮性に与える影響に関する実験データの解析と投稿論文の執筆を遂行した。さらに短期間の二重課題トレーニング(二重課題遂行への慣れ)が皮質脊髄路の興奮性に与える影響についても実験データの解析と投稿論文の執筆を遂行した。 本研究では,随意運動の発現に大きく関与している,一次運動野(primary motor cortex: M1)からの運動指令の伝導路である皮質脊髄路の興奮性を経頭蓋磁気刺激法(transcranial magnetic stimulation: TMS)を用いて,筋から誘発される運動誘発電位(motor-evoked potential: MEP)を指標にすることで評価した。 二重課題遂行時の行動学的指標の結果は,単一課題遂行時よりも認知課題の正答率が低下し,反応時間が遅延し,運動課題の正確性も低下することを示した。また,認知課題が視覚刺激の場合よりも音刺激の場合に二重課題干渉の程度が大きくなった。皮質脊髄路興奮性は,単一課題遂行時に比べて二重課題遂行時に低下を示した。また,認知課題が視覚刺激の場合よりも音刺激の場合に皮質脊髄路興奮性がより低下した。運動課題は参加者への音によるフィードバックで指定された力発揮を行うものであった。力発揮に対するフィードバック音と聴覚刺激による認知課題を同時に遂行する場合に聴覚情報が競合し,より二重課題干渉が生じた可能性が考えられる。 また,二重課題トレーニング(二重課題遂行への慣れ)が皮質脊髄路の興奮性に及ぼす影響を検討するための実験を行った。トレーニング回数が増えるにつれて行動学的指標の結果は改善し,皮質脊髄路興奮性に対する二重課題干渉の程度も低下する傾向が示された。これらの結果に対するメカニズムは現在も検討中である。
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