2018 Fiscal Year Research-status Report
個人間の非対称な動作におけるコミュニケーションの研究
Project/Area Number |
18K17911
|
Research Institution | Hiroshima Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
升本 絢也 広島文化学園大学, 人間健康学部, 講師 (40814413)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 相補的力発揮 / 力制御 / 個人間協応 / Joint Action / 運動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
サッカーやバスケットなどの集団競技において、パスのように人は巧みに他者と相互作用させる。このような相互作用はジョイント・アクション(joint action)と呼ばれ,joint actionとは「2人以上の人間が環境の変化を引き起こすために,彼らの動作を時空間的に協応化させることである」と定義されている。Joint actionの先行研究として、Masumoto & Inui(2013; 2015)は2人の参加者が同時に力発揮しその総和を目標値に一致させる課題を行い、2人の力の相互作用を観察した。その結果、2人の力発揮は負の相関関係になり、一方の力が強くなると他方が力を弱くし、補正するような相補的力発揮が観察された。 上述の研究は、教示や条件を対称的(2人とも同じ)に設定したが、個人間の力出力の非対称が個人間協応運動に与える影響を検討していない。それに対して、本研究は従来の個人間力発揮課題において、非対称な力の強さが相補性に与える影響検討するため、二人の力レベルが非対称になるように実験的な操作を行った。 その結果、従来の研究と一致して、全ての課題で二人の力が負の相関になり、相補的力発揮が観察された。さらに、本研究の新たな知見として、二人の力の非対称の度合いの増加に伴って二人の力の負の相関関係は低くなり、非対称な力発揮が相補的力発揮を低下させた。また、力の誤差は非対称の度合いの増加に伴って大きくなり、パフォーマンスも低下した。本研究の論文は国際学術雑誌「Experimental Brain Research」に採択され、国際的に評価された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1年目は主に実験環境の整備と実験1「非対称な力の強さが相補性に与える影響」の実施を計画していたが、実験Ⅰの論文(タイトル:Force asymmetry deteriorates complementary force production during joint action)を投稿し、採択された。実験Ⅰの論文は2年目の採択を予定していたので、従来の計画よりも大幅に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目は実験Ⅰと同様の課題を用いるが、2人の力発揮のタイミングを実験的に操作し、「非対称な力発揮タイミングがジョイント・アクションの相補性に与える影響」を検討する。2年目以内には実験を完了し、データ解析、論文執筆を完了させることを計画している。また、平行して3年目はこれまでの実験Ⅰと実験Ⅱの研究やその関連の研究をまとめ、総説を執筆する予定である。
|
Research Products
(4 results)