2019 Fiscal Year Research-status Report
パフォーマンス不安の形成メカニズムの解明とその応用
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18K17915
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉江 路子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (00722175)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 感情 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
音楽の演奏会やスポーツの試合など,他者から観察・評価される社会的場面においてパフォーマンス不安(いわゆる緊張・あがり)が喚起されると,運動パフォーマンスが低下することがあり,演奏者やスポーツ選手を初めとして,多くのパフォーマーを悩ませている。本研究では,パフォーマーの周囲の他者の反応や態度の影響に着目しつつ,不安による運動パフォーマンス低下を予防するための対処法を解明することを目指している。本年度は,まず,パフォーマンス不安の実態を調べるため,音楽演奏を専攻する大学生を対象に質問紙調査を実施した。データの質的・量的分析の結果,演奏会や実技試験等の本番前~本番後にかけて,心理面・生理面・行動面でさまざまなパフォーマンス不安反応が生じることが確認された。また,心理面・生理面・行動面の反応が,本番前~本番後にそれぞれ異なる経時的変化を示すことが示唆された。さらに,パフォーマンスを低下させる不安反応を予防するため,本番前の練習段階から,イメージトレーニングなどのさまざまな対処法を実践していることが分かった。本質問紙調査の結果に基づき,パフォーマンス不安への効果的な対処法や周囲の他者の与える影響をさらに詳細に探るため,熟練ピアノ奏者を対象とし,半構造化面接法によるインタビュー調査を実施した。来年度は,本インタビュー調査で得られた回答の質的分析を通して,さまざまな対処法や他者の態度が不安反応やパフォーマンスに与える影響を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,音楽演奏者を対象とする質問紙調査及びインタビュー調査を実施し,パフォーマンス不安の特徴や,その対処法に関するデータを得ることができた。以上のように,おおむね順調に成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,質問紙調査の質的・量的分析により,パフォーマンス不安やその対処法に関する実態を把握することができた。今後は,インタビュー調査回答の詳細な質的分析により,パフォーマンス不安の効果的な対処法を解明していきたい。
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Causes of Carryover |
本年度は,既存の研究設備を工夫して利用したため,次年度使用額が生じた。来年度以降,データ分析に関わる物品費,人件費に使用する予定である。
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