2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K17927
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
本間 一江 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80724765)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スクラーゼ・イソマルターゼ / 酪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
小腸吸収上皮細胞における糖質消化吸収関連遺伝子の発現は、摂取する糖質の量や質によって変化し、その調節には当該遺伝子周辺のヒストン修飾が関与している。これまでに、ラットの絶食後再摂食時におけるスクロース/酪酸添加食の摂取が、二糖類水解酵素であるスクラーゼ・イソマルターゼ遺伝子(Si)周辺のヒストンH3のアセチル化および転写共役因子の結合を高め、転写伸長反応を促進することによりSi遺伝子の発現を増大させることが明らかになった。そこで、本年度は、酪酸の持つヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害作用に着目し、ヒト結腸癌由来細胞株Caco-2を用いて、Si遺伝子の発現誘導における酪酸の影響を検討した。 コンフルエントになったCaco-2細胞を低グルコース培地で72時間培養後、24 mMフルクトース培地に変え、その際0.625 mM~20 mMの酪酸ナトリウムを添加した培地で12時間または24時間培養し、SiのmRNA発現量をリアルタイムRT-PCR法により測定した。その結果、5 mMおよび10 mMの酪酸添加で、SiのmRNA発現量が増大した。次に、HDAC阻害剤としてTrichostatin A(TSA)を1 uM添加してCaco-2細胞を培養し、酪酸ナトリウム5 mMおよび10 mMの条件でCaco-2細胞を培養した場合と比較したところ、酪酸添加と同様にTSAはDMSOと比較してフルクトースによる誘導12時間後において有意にSiのmRNA発現量を増大させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スクロース(フルクトース)によるSiの誘導時、Si遺伝子周辺のアセチル化を阻害した場合Siの転写が抑制されるかを確かめるため、ヒストンアセチル化酵素(HAT)阻害剤を用いた実験も行ったが、細胞数が不十分であったせいかデータが得られなかったため、再検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、Caco-2細胞において酪酸によるSiの遺伝子発現の増大には、酪酸のHDAC阻害作用が関与している可能性が示唆されたが、実際にSi遺伝子周辺のヒストンアセチル化レベルが変化したかどうかは確認できていないため、クロマチン免疫沈降法を用いて、Si遺伝子周辺のヒストンアセチル化レベルを測定する。また、細胞全体のヒストンアセチル化状況をELISAベースで測定し、酪酸の作用が細胞全体のヒストンアセチル化レベルを変えるのか、それとも遺伝子特異的に作用しているのかを検討する。
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Research Products
(5 results)