2018 Fiscal Year Research-status Report
ニューギニア高地人腸内細菌叢の低蛋白食適応機構に関する研究
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18K17929
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
小川 亜紀 甲南女子大学, 医療栄養学部, 助教 (80612308)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / サルコペニア / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画で、2018年度(1年目)に行う予定であったニューギニア高地人の腸内細菌叢の解析については、インドネシアより検体を輸入し実験で扱うための準備に時間を要したため、先に、2019年度(2年目)に行う予定であった、日本人高齢者のサルコペニアと腸内細菌叢の関係についての検討に取り組んだ。 あらゆる疾患の発症に腸内細菌叢が関与する可能性が報告されているが、サルコペニアと腸内環境の関係について調べた先行研究は少なく、またそれらの研究も大多数がマウスを用いて行われている。そこで本研究ではヒトを対象としてサルコペニア罹患者の腸内環境について検討を行った。 医療機関に通院している65歳以上の高齢者42名を対象とした。握力・歩行速度 (11 m歩行テスト)・体組成 (TANITA MC-780A) の測定を行った。サルコペニア診断にはAWGSによる基準を用いて、サルコペニア群(8名)、非サルコペニア群(34名)に分けた。腸内細菌叢構成菌について、対象者の糞便からDNAを抽出し、16Sr DNA-クローンライブラリー法を用いて定量的PCR法を行い、⊿⊿Ct法によって解析を行った。 サルコペニア群で体重、除脂肪量、全身筋肉量、四肢骨格筋量、推定骨量、基礎代謝量が有意に低下していた。腸内細菌叢について、門レベルではBacteroidetes、Firmicutes共にサルコペニア群で減少が見られた。Firmicutes/Bacteroidetes比(F/B比)はサルコペニア群で有意に減少が見られた。 F/B比は太りやすさや肥満の指標にも用いられ、BMIと正の相関もある事から、F/B比の低下がサルコペニア群の痩せにつながる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度(2年目)の研究計画を先に行うこととなったが、その研究の遂行は順調であった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ニューギニア高地(インドネシア)より検体を輸入するための手続き、実験で検体を扱う準備等を進めている。共同研究を行っているインドネシアの大学との情報交換やコミュニケーションは良好であり、検体採取の実施に向けての準備も進んでいる。今後、1年目の研究計画であったニューギニア高地人の腸内細菌叢の解析に取り組む。
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Causes of Carryover |
腸内細菌叢の解析に比較的高価な次世代シークエンス解析を行う予定であったため、その予算を計上していた。しかし、今年度は、リアルタイムPCRによって解析するに留まったため、その予算が未使用となった。次年度は、ニューギニア高地人の腸内細菌叢解析を行う計画であり、その解析は全て、次世代シークエンス解析とし、今年度未使用となった予算を併せて使用する。現在、次世代シークエンス解析について、方法の確認等を進めており、ニューギニア高地人より検体が得られれば解析が行える状態は整っている。
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Research Products
(3 results)