2019 Fiscal Year Research-status Report
座位行動から身体活動への置換がNAFLDに与える影響:客観指標による縦断疫学研究
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18K17930
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
角田 憲治 山口県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (90718909)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 身体活動 / 運動 / 座位行動 / 脂肪肝 / NAFLD / 非アルコール性脂肪肝 / 人間ドック / 健診 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、ベースラインデータを厚くするために、約800名の新規対象者の追加し、2017-2019年度のデータの合算で、約3000名のベースラインデータを構築した。また、1-2年目の追跡調査を行った。 ベースラインデータに基づいた横断分析について学会発表を行い、partitionモデルとisotemporal substitution(IS)モデルを取り入れたロジスティック回帰分析の結果を報告した。目的変数には、腹部超音波検査に基づく脂肪肝所見の有無を投入した。説明変数には、年齢、性、BMI、喫煙、飲酒、血縁者の肝疾患歴、野菜摂取、高血圧、糖尿病、脂質異常症、加速度計装着時間、座位行動時間(1.5METs以下)、低強度活動時間(3.0METs未満)、中高強度活動時間(3.0METs以上)を用い、加速度計に関する変数はモデルに応じて投入パターンを変えた。非アルコール性脂肪肝(NAFLD)に関する解析を行うために、アルコール摂取量が1日あたり23g未満の者を対象に用いた。Partitionモデルでは、高水準の中高強度活動時間がNAFLDの有所見と有意な負の関連を認め、cubic spline curveを用いた解析において、量反応的関連性が確認された。一方、座位行動時間、低強度活動時間はNAFLDと有意に関連しなかった。ISモデルでは、1日30分の座位行動時間を中高強度活動時間に置換した場合に、NAFLDの有所見に対するオッズ比が0.79(95% CI=0.65-0.97)を示した。座位行動時間から低強度活動への置換は、NAFLDに対し、有意な関連性を認めなかった。このことから、NAFLDの予防には、特に座位行動から中高強度活動への行動置換が効果的であることが示唆された。2020年度は、本結果を縦断的に検討するために、引き続き追跡調査を行う。また、新規対象者の追加を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規対象者の追加により、ベースラインデータの不足分を補完することができている。追跡調査も人間ドックを通じて順調に遂行できている。量反応的関連性を捉えることに長けている分析であるcubic spline curveを用いた解析も行えるようになり、研究アプローチも充実してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
加速度計データにおける座位行動時間や身体活動時間は、一方が増えれば、もう片方が減るという相互依存関係にある。この相互依存関係にあるデータを処理するための分析として「組成データ解析」が着目されている。既に、本プロジェクトに関わっている共同研究者が他の研究で実施していることから、本研究にも積極的に導入し、研究の質を向上させる。
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Causes of Carryover |
予定していた学会発表および研究所への渡航が、新型コロナウイルスの影響で、中止になったため予算が残った。繰り越した予算は、新規対象者の追加および機器の故障により不足する加速度計の購入資金と、新型コロナウイルス収束後の成果発表に用いる。
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Research Products
(3 results)