2020 Fiscal Year Research-status Report
認知症予防に向けた腸管脂質センサーと神経発達における腸脳相関解明
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18K17933
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
岩佐 健介 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (00623703)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | FFAR4 / ミクログリア / 神経新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管など消化管に発現している食事性肥満原因遺伝子FFAR4の機能不全が、肥満をはじめとする生活習慣病の発症にかかわることが知られていて、近年生活習慣病における認知症のリスクが高まることが報告されている。故にFFAR4の機能不全は認知症やアルツハイマー病の引き金になっている可能性が考えられる。申請者はプロスタグランジンD2(PGD2)の過剰産生とミクログリアの活性化がFFAR4機能不全マウスの海馬では未刺激時においても起きていることを明らかとした。また海馬体積の委縮、アミロイドβ蛋白質の増加をすでに明らかにしている。本研究は腸管FFAR4機能不全により引き起こされる生活習慣病が、海馬委縮さらには認知症リスクを増加させるメカニズムを解析することを目的とする。 本年度は、FFAR4シグナルによって産生を刺激されるglucagon like peptide-1(GLP-1)の分解酵素であるDipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害剤をFFAR4機能不全マウスに投与し、脳内PGD2が抑制し、海馬体積の増加、認知機能の改善がみられるか検討を行った。神経変性疾患治療は脳血液関門によるバリア機能により治療薬が脳組織に到達が難しくドラックデリバリーが問題点となっている。DPP-4阻害剤は臨床でも使用されていて、消化管作用点とする神経疾患治療が可能となれば、これまでは脳血液関門を通過できなかった親水性、もしくは高分子化合物を神経変性疾患治療に応用可能となる。また、現在までのデータをまとめた論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナによる影響により、実験の進度が遅れている。 また論文の投稿に時間を割いていた。
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Strategy for Future Research Activity |
新たにFFAR4機能不全マウスにおける海馬神経新生の低下と抗酸化機構の低下が明らかとなった。これらがどのようにPGD2の過剰産生とミクログリアの活性化のサイクルと関連してくるか明らかとする。申請者はFFAR4KOマウスのPGD2-ミクログリア神経炎症サイクルにおいて、PGD2合成の責任酵素が造血器型PGD合成酵素(H-PGDS)であることを明らかとしている。H-PGDS酵素の阻害が抗酸化機構の回復・神経新生の増加をもたらすかどうかを検討するために、H-PGDSKOミクログリアを作製し検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナにより実験の進度が遅れていて、研究費の使用ができない部分があった。
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