2018 Fiscal Year Research-status Report
運動が全身のミトコンドリアの適応をもたらすメカニズムの解明
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18K17941
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
北岡 祐 神奈川大学, 人間科学部, 准教授 (30726914)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 運動 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
血中乳酸濃度が10mM以上に高まる高強度の運動直後にICRマウスから採取した血清を骨格筋培養細胞に添加したところ、安静時に採取した血清を添加した場合と比較して、24時間後および48時間後にミトコンドリア呼吸機能が高まることが確認された。高強度運動直後の血清を用いた実験結果とは異なり、低強度運動後の血清を添加してもミトコンドリア呼吸機能には変化がみられなかった。したがって、運動強度依存的に体内で分泌される因子が関与していると考えられる。この結果は、高強度運動後の血液中にはミトコンドリア機能を高める因子が存在する可能性を示唆しており、運動の全身的な効果を説明するメカニズムについて今後さらに検討を進めていきたいと考えている。 活性酸素種の産生は運動強度依存的に高まるが、それに応答して抗酸化のマスター遺伝子であるNrf2(nuclear factor erythroid 2 -related factor 2)が活性化することに着目し、Nrf2のノックアウト(KO)マウスの加齢変化について検討した。加齢Nrf2 KOマウスの組織ではカタラーゼなどの抗酸化酵素活性が低下し、カルボニル化タンパクや4-ヒドロキシノネナールなどの酸化ストレスマーカーの増加がみられた一方で、ミトコンドリア呼吸機能への影響はほとんどみられなかった。ミトコンドリアに存在するスーパーオキシドディスムターゼ2の発現にはNrf2欠損の変化がみられなかったことから、Nrf2がミトコンドリアに及ぼす影響は小さいと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動およびサンプリングのタイムポイントについての条件検討をクリアし、高強度運動直後の血清には「運動効果」をもたらす何らかの因子が含まれることが確認できたことから。
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Strategy for Future Research Activity |
具体的にどのような因子が関与しているのか、その同定と機能解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
リアルタイムPCRなどの機器を当初の想定よりも安く入手することができたため。
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Research Products
(6 results)